昨今のコロナ禍、社会・ビジネス環境の激変、顧客ニーズの多様化にともない、多くの企業・営業組織が営業変革へと大きく舵を切った2021年。営業スタイル変革や営業育成体系の見直し、ツール、データ活用、営業組織の分業制「The Model」導入などが代表的ですが、これらを包括した概念、取り組みである「セールスイネーブルメント(Sales Enablement)」への注目も一気に高まりました。
顧客管理(CRM)プラットフォームをグローバルで展開するセールスフォース・ドットコムによる年次調査レポート『セールス最新事情』では、コロナ禍における世界各国の営業組織を調査した結果、パンデミック禍の営業トレンドを次のようにまとめています。
● 環境の変化に伴い戦術を一新する営業担当者
● 存在感を増す営業管理担当者
● 回復と成長に軸足を移すリーダーたち
営業視点でいうと、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になりつつある昨今、インサイドセールス(内勤営業)への期待が高まる一方で、フィールドセールス(外勤営業)にとっては顧客との信頼関係構築、維持のために営業スタイル変革が急務となりました。その結果、成果だけではなく、顧客との商談化までのコミュニケーションプロセスが重視されるようになったのも特徴的です。
次に、営業管理部門視点でいうと、VUCA(予測不可能)時代、今後はより高度な営業戦略策定が求められるようになり、営業部門を支援する専門組織の存在感が増し、その支援範囲も拡大するでしょう。欧米で急拡大してきたセールスイネーブルメントですが、今日の日本でも組織の立ち上げが目立ち始めた理由がここにあります。
また、営業マネージャー視点でいうと、営業戦略や組織のあり方そのものを見直し、メンバーの再教育やテクノロジーを用いたデータ活用によって、新しい時代にも対応できる強い営業組織の構築を急いでいます。弊社にご相談いただくお客様からも、”自組織にとって本当に必要なものを見極めている”といった声を多く頂くようになりました。
The Model型営業組織(営業分業制)の導入も進んでいますが、今こそ営業組織が一枚岩となって、”顧客視点”での新たな営業アプローチへシフトすることで、パンデミック禍においても安定した事業成長を遂げられるのではないでしょうか。
世界の営業組織調査から見えた2021年のセールス3大トレンドは? セールスフォース・ドットコムが解説 / SalesZine>>
さて、ここまで営業トレンドについて見てきましたが、皆さんはSales Enablement Society(通称SES)という団体をご存じでしょうか?
SESは北米で2013年に発足した団体で、50か国から約8,000人のメンバーを抱える世界最大のSales Enablementコミュニティー(NPO)です。
企業に所属するセールスイネーブラー、テックベンダー、また調査会社などのメンバーが所属しており、セミナーやパネルディスカッションなどイネーブルメントに関するトピックの共有と議論の場が提供されています。
その中でも、年に一度秋口に開催されるもっとも大きなイベント「Sales Enablemnet Annual Conference」
にR2も参加してきました。
昨年と比較すると、コロナ禍における試行錯誤を経ての学びやニューノーマル時代のイネーブルメントのベストプラクティスを共有するようなコンテンツが多く、徐々に落ち着きを取り戻しつつあるように感じました。
前項で営業トレンドについてご紹介しましたが、これらの施策を分断させることなく、組織横断型かつデータを活用し一気通貫で成果起点の営業組織・人材開発に取り組むセールスイネーブルメントの視点で、営業トレンドをキーワードとともに紐解いていきましょう。
今年のSES全体に共通するキーワードとして、まず”つながり・Connection”を挙げたいと思います。前述のとおり、対面のコミュニケーションが難しくなった昨今、営業パーソンを取巻く環境が大きく変わりました。
顧客とのコミュニケーションはもちろん、上司部下、同僚同士の関係性やコミュニケーションも同様です。
コミュニケーション手法自体は対面からオンライン環境で行われることがノーマルとなりましたが、今多くの営業パーソンが直面している課題が”つながり”です。
画面越しだと、「顧客がどれほど商談に注意を向けてくれているか」「集中してくれているか」がわからない、「今までのやり方だと顧客の関心を惹き続けるのが難しい」…と日本だけではなく北米でも多くのセールスパーソンの戸惑っているという、エンゲージメントの課題感が共有されていました。
顧客とのコミュニケーションだけに留まらず、上司部下・同僚同士といった社内コミュニケーションも希薄となり、情報共有の場が減り、結果エンゲージメントポイントが低下したということが多くのセッションで語られていました。
社内外問わず、いかに「相手」と「コネクト」できるか、は大きなテーマとなっており、今後それをサポートするITテックやコーチングなどのコミュニケーション手法が重要視されていくのではないかと思われます。
続いてのキーワードは、”個別化・Personalization”です。
個別化の1つ目のトレンドは「育成プログラムの個別化」です。
今までの育成は、集合研修という形式で画一的テーマを提供するというスタイルを採っていましたが、オンライン環境となり、「必要なプログラム」を「個別に提供」するというスタイルに多くの企業がシフトしている様子が伺えました。
個々の弱みや役割に合わせ、本当に必要なものをピンポイントで提供するというトレンドは、今後営業人材育成のスタンダードになっていくでしょう。
個別化の2つ目のトレンドは「顧客目線」です。
オンライン環境になったことでさまざまなことが見えにくくなった分、顧客自身も社内ミーティングや打合せに別途時間を割く必要が出てきました。顧客が忙しくなったことで、「ディスカバリーコール」に付き合ってくれる顧客が全体的に少なくなったといった声もありました。
時間に対する顧客の意識が高まり、「時間を無駄にする営業パーソンか否か」を見極めるといった具合に顧客の目が厳しくなってきているとのことです。
あらかじめ顧客に合わせてカスタマイズした資料や情報を用意して商談に臨むなど、これまで以上に顧客を意識し、顧客に合わせた工夫や準備を行う必要性が出てきているのです。
最後のキーワードは”共有・Share”です。
オンライン環境において難しくなったことの一つとして、「社内の情報共有」も挙げられていました。情報の発信・受信を今まで以上に積極的に行わないと、必要なことを知らずにいつの間にか「取り残される」という状況に陥りやすくなったのです。
米国では企業のTurn over rate(人材の回転率)が15%程度だとヘルシーという認識がされています。営業パーソンの中途人材の採用が積極的に行われていることもあり、「ナレッジ獲得」を重要な「スキル」の一つとしてみなす企業も多い印象です。
ベストプラクティスやトップパフォーマーのナレッジシェア、有用度の高いマテリアルの共有、最新製品の情報提供や、マーケティング部門と営業部門との情報連携などがスムーズに行われないことで起こるマイナスの影響は大きく、組織全体としての生産性に大きく関わってくるテーマとして語られていました。
また、情報共有は「つながり / ・Connection」パートで述べた、「社員同士のエンゲージメント」や「モチベーション」にも密に関わるテーマでもあり、自社のサイズ・文化に合った情報共有の方法を取り入れようとする動きが感じられました。
SESに参加してみて改めて営業トレンドについて振り返り印象的だったのは、これらの「つながり・個別化・共有」といった課題をサポートするものが「データ」と「テクノロジー」である、と語られていた点です。
例えば、顧客とのつながりをサポートする「商談の会話分析」、必要なトレーニングテーマの選出や上司部下のコミュニケーションのサポートする「データドリブンコーチング」、必要なナレッジシェアをサポートする「コンテンツ・ナレッジプラットフォーム」など様々なソリューションが誕生しています。
パンデミックがもたらした外部環境の変化を乗り越えるための拠り所として、今後データとテクノロジー活用がより加速していくでしょう。その中で、部分最適ではなく、組織横断型かつ全体最適でデータドリブンの営業組織開発・人材育成を推進するセールスイネーブルメントにさらなる期待と注目が集まっているのです。
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