いま求められる営業改革とは

いま求められる営業改革

営業改革というとどのようなイメージをおもちでしょうか。新規顧客の獲得や既存顧客の拡大、新しいソリューションの展開や新規ビジネスの柱の構築、営業人材育成体系の見直しや営業DX等、様々なことを思いつくのではないでしょうか。営業改革とは営業組織において何かしらの事柄を変化させ改めてよりよいものにすることであり、前出の施策は営業改革の一部といえます。

1.営業改革が求められる理由

多くの企業は中長期的なビジネスの成長を目指しています。その指標は売上・利益となることがほとんどで、売上達成というミッションをもつ営業組織の成長が企業の成長には不可欠です。

現在の営業プロセスやスタイル、組織体制で売上が成長し続ければ、営業改革は不要に思われるかもしれません。しかし、不確実性の時代においては顧客ニーズが多様化し、意思決定プロセスも大きく変わってきています。これまでの考え方や行動の仕方だけではその変化に対応することが難しくなり、新たな仕組みの構築を検討する必要も出てくると考えられます。

また、働き方改革が推進されている昨今、営業組織においても生産性を上げるために効率的な営業活動を行うことが求められています。しかし、コロナ禍においてオンライン環境下での業務が中心となったことで、上司・部下・同僚の動きが見えにくくなり、対面と比べると情報連携や社内コミュニケーションが難しくなった、人材育成面では新人・中途メンバーの立ち上がりにこれまでより時間がかかるようになった、などの課題も浮き彫りとなっています。

これだけ営業改革が叫ばれるのは、営業組織、人が激しい環境変化に適応し、中長期的に成果を創出し続けるための仕組構築こそが、これらの課題を解決するための鍵となっているからです。

オンライン環境の業務

2.営業改革に必要な取り組み

それでは改革を実行する上で何に取り組めばよいのでしょうか。必要な取り組みがいくつかあります。

組織の目的や目指す姿の設定

まず、営業組織の目的や目指す姿を明確化し、部門全体に浸透させることです。営業改革の必要性を感じているのは組織の上層部だけというケースは少なくありません。結果として、現場との温度差が生じてしまうこともあるでしょう。営業改革を実行していくのは、経営陣はもちろん、営業マネージャーやメンバー一人ひとりでもありますから、現場が自分たちで動かなければ、営業改革の成功には繋がりません。現場との温度差解消のために、目的と目指す姿を共有し浸透させていくことが肝要です。これらが、メンバーの行動指針となり、意識と行動が変わることで、営業改革をスムーズに進めることができます。

営業戦略・戦術の共有と評価

目的や目標が明確になり、目指す姿と現状とのギャップが可視化されると、さまざまな課題に直面すると思います。課題解決のための方針が営業戦略、戦略を実現するための手段が戦術ですが、これらについても営業部門全体が共通認識を持てるようにすることが重要です。
また、戦略・戦術設計しただけで満足せず、具体的な実行計画に落とし込み、進捗管理しながら計画を進めていきます。最終的には課題を解決しなければ営業目的・目標の達成が実現できないので、実行中もしくは実行後の評価と改善も必要となります。

ここで非常に有効な手段のひとつが「営業戦略を具体的な営業活動の数値で表現する」ことです。例えば、営業戦略として「大手企業に新製品を直販でアプローチする」ということを挙げているのであれば、まずは“大手企業”の定義を明確にして、その大手企業に対する新製品提案の商談が、全体の商談のうち何%となっている状態を目指すのか、ということをできるだけ明確にします。もちろん、企業規模や提案する商材の種類に関する目標だけではなく、金額、期間、商談件数など、営業戦略を具体的に示す方法は様々です。

ここで大事なことは、営業戦略を単なる“掛け声”で終わらせるのではなく、「どうなっていたら営業戦略通りに活動出来ているのか」を客観的に判断できるようにすることです。営業戦略に沿った活動か否かを客観的に判断できるようになれば、おのずと現状と目標のギャップが可視化され、その差を埋められているのかいないのかを定期的に評価することで軌道修正を図ることができます。

さらには組織設計、リソース配分、各自の役割や目標の割り振りなど、営業成果管理のみでなく部門の運営や行動管理についても営業戦略をもとに落とし込んでいくことが営業改革を成功させる近道となります。

営業プロセスの可視化と見直し

営業改革を進める上で、目的・目標の設定、戦略・戦術の設計、評価と改善が重要であることをお伝えしてきました。闇雲に改革に取り組むのではなく、自組織に必要な打ち手から優先順位をつけて着手していきましょう。
営業改革において重要な要素の一つといえるのが、現状の営業プロセスの見直しです。例えば、「見積書の提示を求められたのでいよいよ受注だ」と判断してしまっているケースは往々にして起こりがちです。

ここで重要な問いは「見積もりを出していれば営業フェーズは進んでいると言えるのか?」ということです。顧客視点で考えれば、その見積をもって「意思決定者との合意形成を図っている」かもしれませんし、「競合と比較検討されている」段階かもしれません。現在の営業プロセスと、顧客ニーズや顧客の意思決定プロセスとの間にずれが生じていないかどうか、定期的に確認・分析する仕組みを作りましょう。

育成の仕組み化

加えて、“人の行動変革”も改革における重要なテーマといえるでしょう。ハイパフォーマーとそれ以外のメンバーとの営業プロセスにおける行動やスキル・知識の差異も明らかにし、ハイパフォーマーへ近づけるための育成施策を考えます。ここでも成果を測る指標を設定しておき、育成施策の実施前後で指標の変化を確認し、その結果をデータによって検証しながら改善するといった育成のPDCAサイクルを回していく仕組みを構築していきましょう。

育成施策の成果を測る指標として望ましいものは、個人の営業スキル・知識をアセスメントして数値化したものです。営業スキル・知識を可視化する方法は他にもあると思いますが、自組織に適した方法で、まずは営業スキル・知識面でハイパフォーマーとそれ以外のメンバーにどのような差があるのかを定量的に明らかにしましょう。
ここでよく陥ってしまう失敗例として「育成施策の成果指標を営業成果と同一にしてしまう」ということが挙げられます。育成施策の成果指標を営業成果と同一にしてしまうと、その成果が育成施策によるものなのか、顧客や外部環境の変化によるものなのかがわからなくなってしまいます。これでは、育成が必要なメンバーに、必要なスキル・知識を向上させるために最適な策をとることができません。育成施策の成果指標は、営業成果とは別々に設定しましょう。

育成施策の成果指標と営業成果を別々に設定することで、営業成果と相関の強い指標と弱い指標も明らかになります。育成施策の実施状況・実施内容とその育成成果、さらには営業成果との相関をデータによって検証し、PDCAサイクルを回すことが、効果的・効率的な育成の仕組み化の要点です。

データによる育成施策の検証

部門間の連携

これまで述べてきたように、営業改革において自部門における取り組みはもちろん重要ですが、組織開発・人材育成面での課題解決においては、他部門と連携の上で進める体制を作ることも大切です。

収益部門間連携

昨今では収益部門全体をマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスというように分業体制とするThe Model型の組織へと移行する企業も増えています。各部門がそれぞれのKPIを追うことにより、業務効率は上がりますが、同時に部門間での連携がこれまで以上に必要となります。部門間の業務の流れに繋がりが生まれなければ相互の意思疎通がうまくいかず、結果として顧客視点で質の高い営業活動が困難になります。
各部門でアウトプットした情報を詳細かつタイムリーに他部門へ引き継ぎ、その情報を部門間のリーダーが定期的に確認しあい、いつでも改善できる状態にすることや、各部門の成功事例や顧客情報を他部門に共有する仕組みをつくるなど、横串を通したうえで共通の目標を追う仲間という意識を持てるようにすることも大切です。

システム部門やバックオフィス部門との連携

前述のような収益部門だけでなく、ITツールを導入する場合はシステムに関する知識やノウハウを持つ情報システム部門と、人材育成面では人事部門といった間接部門との連携も不可欠です。例えば営業部門の状況や業務内容をきちんと共有せずに、情報システム部門がITツール導入を進めてしまうとプロジェクトの失敗に繋がります。その逆も然りです。育成面においても、営業部門と人事部門で棲み分けを行ったうえで連携していくことが成功への近道です。お互いに目的や情報を共有しながらプロジェクトを進めていくことで業務の抜け漏れや重複を防ぐことができるでしょう。

営業部門間の連携

同じ営業組織でもエリアや扱う商材によって部門がわかれることもあると思います。ある部門で、施策Aという営業活動を行ったところ、成約に結び付いたという事例があれば、違う部門でも試してみるなど成功事例は積極的に横展開し活用していくこと、そのためには、組織横断的に成功事例を共有するような仕組みや、データベースの構築なども重要です。

ツール活用で効率化&営業パフォーマンスの見える化

営業改革を効率的に進めていくために欠かせない存在がITツールです。様々な営業支援ツールが誕生していますので、ツールを用いて業務を効率良く行えるようになれば、生産性が高まり営業改革が実現しやすくなります。
営業支援のためのITツールですが、「現場が使ってくれない、想定以上に使う機会が少ない」「投資に見合った効果を実感できない」といった声もよく聞きます。こうしたお悩みの背景には「ツール導入が目的化している」「現状把握ができていない」「成果起点で考えられていない」などといった理由が考えられます。最新テクノロジーで成り立つITツールは、それ自体がとても魅力的に移ります。
しかし、ITツールを導入すれば営業改革ができるだろうという意識でとりあえず導入してしまうと、うまみを感じる前に入力の手間やコストなどのデメリットばかりが気になってしまい、肝心の「ツールによって達成したかったこと」が曖昧になってしまうのです。

また、導入したツールの機能と改善したい課題の内容が噛み合っていない場合にも、思ったような効果を得ることが難しくなります。各社の営業スタイル、課題感、企業の成長フェーズなどによっても適切なツールは異なりますから、それらを把握し明確化すること。そして自社の仕組みや考え方、行動などを整理し、その過程の中で必要なツールを選択することが大切です。

営業支援のためのITツールといえばSFAが有名ですが、前出の育成においては「セールスイネーブルメントツール」への注目も高まってきています。各種データを用いて、営業メンバーが営業プロセスのどこでつまずいているのか、前進させるために必要な行動や知識が何なのか、事実を客観的にみることでそこから育成テーマを導くことが可能となります。例えば営業フェーズ後半のコンバージョン率が低い、ということがデータから確認できれば、育成対象とすべき領域が営業後半フェーズに絞られてきます。さらに具体的な育成テーマは現場や営業マネージャーとのヒアリングを行うことで特定でき、その後の育成展開の合意形成が図りやすくなります。

3.営業改革取り組みの鍵となるのは「継続」と「成果」

ここまで、営業改革に必要な取り組みについてご紹介いたしました。こうした一連の取り組みには担当者に改革に必要なスキルを身につけてもらうことや、必要な人材の確保といった人材の管理も重要です。営業改革実現のための仕組みを作るために、推進チームを設けることが近道ですが、専任人材が確保できない場合もあるでしょう。そのような場合には、まずはスモールスタートし成果を示してからリソースを拡充していく、最初のスモールスタートも難しい場合には、外部の知見者のサポートを経て、その後内製化していくといった進め方もあります。
また、営業改革は1回で終わりではなく、何度も繰り返し改善を行い、成果に繋げることで初めて成功したといえます。とりあえず改革に取り組んでみたものの、成果が上がらなかったという場合、1回の改善で成果を決め打ちしてしまい、そのまま終了してしまったということはないでしょうか。変化し続ける環境に対応するために、営業改革もまた継続的に改善し続けるべきものだといえます。

こうした取組みの一助となるのが「セールスイネーブルメント」です。セールスイネーブルメントとは「営業組織・人材が継続的に営業成果を出し続けるための仕組みを構築すること」です。
企業が掲げる「営業成果達成」をゴールに置き、成果を起点にITツールやデータをフル活用し、顧客の購買行動の視点から、組織横断的・全体最適な営業活動を行なえるよう支援します。営業改革を実践されている多くの企業で導入が進んでいます。

継続的に営業成果を出し続けるための仕組み

※令和2年8月7日(2020.8.7)「営業人材開発支援システム、営業人材開発支援方法、および営業人材開発支援プログラム」の名称で特許取得済みです。特許第6746184号(P6746184)

4.営業改革でセールスイネーブルメントを導入した事例

セールスイネーブルメントを営業改革の柱として導入されている事例をご紹介します。

お客様の潜在課題を顕在化して支援する新たな需要創出型の取組みを全社に

創業120年を迎え、誰もが知る大企業である凸版印刷。時代の変化に適応しながら進化し続けている同社では、昨今の環境激変下、営業改革を推進する上でどのようにイネーブルメントを組織に浸透させ、成果につなげているのでしょうか。導入の経緯や成果、成功の秘訣などについて具体的なお話を伺いました。

詳しい事例についてはこちらのページをご覧ください。
凸版印刷株式会社 | セールスイネーブルメント事例 Enablement App

無形商材営業・ITツール未導入のスタートでも前年比125%!

セールスイネーブルメントを導入することにより”営業レボリューション”=営業組織の大改革に取り組むCCCマーケティング株式会社マーケティングソリューションDiv. ゼネラルマネージャーの島田正明さんに、導入の経緯や成功の秘訣、今後さらに営業組織を強くするための展望などをお伺いしました。

詳しい事例についてはこちらのページをご覧ください。
CCCマーケティング株式会社 | セールスイネーブルメント事例 Enablement App

5.まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。営業改革が求められている理由とその取り組み、成功のポイントについてご紹介いたしました。ぜひ皆さまの会社でも参考にしていただければ幸いです。

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