営業利益率は、企業の収益性を評価する上で欠かせない指標です。この指標は、売上高に対する営業利益の割合を示し、企業が本業でどれだけ効率的に利益を上げているかを測るものです。
しかし、単なる数値以上の意味を持つ営業利益率を正しく理解し、適切に活用することは簡単ではありません。本記事では、営業利益率の基本的な計算方法、適正値、営業利益率の改善法を解説します。
営業利益率
営業利益率とは
営業利益率とは、企業が本業でどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標です。売上高に対する営業利益の割合を表し、企業の収益性や経営効率を評価する際に重要な役割を果たします。
具体的には「売上高から売上原価や販売費、一般管理費などの営業活動に関わるコスト」を差し引いたもので、企業の主な事業活動による収益を反映します。営業利益率が高ければ、本業での収益性が高いことを意味し、低ければ効率的に利益を生み出せていないことになります。
他の利益率との違い
営業利益率は、企業の本業の効率性を示す指標である一方、他の利益率には異なる視点から企業の収益性を測るものがあります。ここでは、営業利益率と他の代表的な利益率との違いを見ていきます。
1. 売上総利益率(粗利益率)との違い
売上総利益率は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益(粗利益)を売上高で割って算出される指標です。企業が製品やサービスを生産・提供するために直接かかったコスト(売上原価)と売上高との関係を示しています。一方、営業利益率は販売費や一般管理費といった営業活動全体のコストを反映させたものであり、より広範囲の費用を考慮しています。
2. 経常利益率との違い
経常利益率は、営業利益に加え、企業が本業以外で得た収益(例:受取利息、配当金など)や、支出(例:支払利息、借入金の利息など)を含んだ経常利益を基に計算されます。経常利益率は、本業だけでなく、企業が経済活動全体でどれだけ利益を上げているかを示す指標であり、営業利益率よりも広い視点で収益性を捉えています。
3. 当期純利益率との違い
当期純利益率は、企業が最終的に手元に残る利益を示す指標です。営業利益や経常利益に加え、特別利益や税金を差し引いた後の利益で計算されます。純利益は企業がその期に得た全ての収益から、あらゆる費用や税金を引いたもので、営業利益率よりもさらに最終的な企業の収益性を反映します。
営業利益率の計算方法
営業利益率の計算式
営業利益率の基本的な計算式は以下の通りです。
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)
例えば、1,000万円の売上高を上げ、営業利益が100万円の場合、営業利益率は以下となります。
100万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 10%
営業利益率は10%となり、売上高の10%が営業利益として残っていることを示しています。
計算例:具体的な事例で解説
営業利益率の理解を深めるために、具体的な事例を用いて計算を行ってみましょう。
事例1:製造業の企業の場合
製造業の企業の例です。年間売上高は1億円でで、営業活動にかかる費用は以下の通りです。
営業利益は以下のように計算されます。
営業利益 = 売上高 – (売上原価 + 販売費 + 一般管理費)
営業利益 = 1億円 – (6,000万円 + 500万円 + 2,000万円)
営業利益 = 1億円 – 8,500万円 = 1,500万円
次に営業利益率を計算します。
営業利益率 = 1,500万円 ÷ 1億円 × 100 = 15%
営業利益率は15%となり、企業Bが売上高の15%を営業利益として確保していることが分かります。
営業利益率の適正値とその判断
一般的な適正値の範囲
営業利益率の適正値は、業種や企業規模によって異なりますが、一般的には10%〜20%が良好とされることが多いです。具体的な範囲としては、以下の通りです。
5%未満:
営業活動による利益が十分に確保できていない可能性があります。競争が激しくコストの削減が難しい業界や、事業拡大のために一時的に投資を増やしている企業で見られることが多いです。
5%〜10%:
安定した収益性を維持していると言えますが、競合他社と比較して改善の余地があります。新興企業や規模の大きな企業でこの範囲に入るケースが多く見られます。
10%〜20%:
多くの業界で「健全」とされる基準です。企業は効率的にコストを管理し、営業活動から十分な利益を得ている状態です。
20%以上:
高い収益性を持っていると言えます。製品やサービスが高付加価値を持ち、競争力が強い企業で見られることが多いです。また、ニッチ市場での優位性やコスト構造の優れた管理が反映されています。
業界別の適正値
営業利益率の適正値は業界によって大きく異なります。特に、業界ごとのビジネスモデルやコスト構造、競争環境が営業利益率に強く影響を与えます。以下に主要な業界の一般的な営業利益率の範囲を示し、それぞれの特性を解説します。
1. 製造業
製造業は製品の製造・販売を主とする業界であり、製造コストが営業利益率に大きな影響を与えます。業界全体では、**営業利益率は5%〜15%**程度が一般的です。技術力や生産効率の高い企業は利益率が高くなる傾向がありますが、原材料価格や人件費の上昇による影響を受けやすい業界でもあります。
2. 小売業
小売業の営業利益率は、低めに設定されることが多いです。大量の商品を取り扱い、薄利多売のビジネスモデルが一般的なため、**2%〜6%**程度が平均的な範囲です。ただし、ブランド力の強い高級品や、専門店であれば10%を超えることもあります。
3. IT業界(ソフトウェア・サービス)
特にソフトウェアやサービスを提供する企業は、コスト構造が他の業界とは異なり、初期開発コストが大きくても、運用後のコストが低く抑えられるため、**営業利益率が20%〜40%**と高い傾向があります。クラウドサービスやサブスクリプション型ビジネスは、高い利益率を維持しやすい業態です。
4. 飲食業
飲食業界の営業利益率は比較的低く、**3%〜8%**程度が一般的です。原材料費や人件費が営業利益率に影響を与え、特にコスト管理の効率が鍵となります。
5. サービス業(コンサルティング・広告)
サービス業、とりわけコンサルティングや広告代理業などは、人的資本が主なリソースとなるため、コストが比較的抑えられ、高い営業利益率を確保しやすい業界です。一般的には**15%〜30%**程度が標準的な範囲です。
6. 建設業
建設業は、プロジェクトベースでの大規模な取引が多い反面、材料費や人件費、外部要因(天候や規制)などの影響を受けます。営業利益率は**5%〜10%**が一般的です。
7. 金融業
金融業界(銀行や保険業など)は、運用コストが低く、利益率が高いビジネスモデルです。保険業界では、長期にわたる契約が多いため、**15%〜25%程度の高い営業利益率が一般的です。一方、銀行業界では、貸出業務に関わるリスクなどを考慮し、営業利益率は10%〜20%**程度です。
営業利益率がマイナスになる要因と影響
マイナスになる要因
本業による営業活動で利益を出せていないことを意味します。主な要因をいくつか挙げて解説します。
1. コスト構造の不備
企業が負担するコスト、特に売上原価や販管費が過大になると、営業利益が圧迫されます。例えば、原材料費の高騰や物流コストの増加、従業員の人件費の上昇などが原因で、収益を超えるコストがかかっている場合、営業利益率はマイナスになります。
2. 売上の低迷
売上高が期待に達しない、あるいは下降傾向にある場合も、営業利益率がマイナスになる主な原因です。ニーズの変化や競合他社の市場参入、新商品の不発、景気低迷などが売上低下の要因となり得ます。
3. 価格戦略の失敗
過度な値引きや競争による価格の引き下げが続くと、利益を圧迫する原因になります。市場シェアを優先し、利益を無視して低価格戦略を取った場合、売上は増えても営業利益率が低下し、最終的にマイナスになることがあります。
4. 販売チャネルやマーケティング戦略の非効率
マーケティング費用や販路の開拓にコストをかけても売上増加に結びつかない場合、営業利益率が低下する可能性があります。広告や販促費用が膨らみすぎると、利益が圧縮され、マイナスになる原因となります。
5. 在庫管理や生産の非効率
過剰在庫や生産計画の失敗も、営業利益率がマイナスになる要因です。過剰な在庫は、保管費や管理費の増加を招き、売れ残った在庫は値引きや廃棄処分の対象となることもあります。また、需要予測が不適切な場合、生産ラインの非効率が発生し、コストの増加を招きます。
6. 業界全体の低迷
景気の悪化や業界全体の成長鈍化が、営業利益率に悪影響を与えることもあります。外的要因としての経済状況や市場全体の需要減少、規制の強化、国際的な貿易摩擦などが売上やコストに影響を与えると、営業利益率のマイナス化に繋がります。
マイナスの影響と注意点
営業利益率がマイナスであることによる影響と、その際に注意すべき点について解説します。
1. 企業の財務健全性への影響
営業利益率がマイナスになると、まず企業の財務健全性が低下します。営業活動から得られる利益がない、もしくは赤字である場合、企業は事業の運転資金を内部留保や借入、外部資金に依存せざるを得なくなります。
2. 株主や投資家からの信頼低下
株主や投資家の信頼を損なう要因となります。営業利益率が悪化している企業は、成長可能性が低いと見なされ、株価の下落や投資家からの資金調達が難しくなる恐れがあります。また、既存の株主からの配当金の減少や、中長期的な経営方針に対する疑念が高まることも考えられます。
3. 競争力の低下
競合他社に対して不利な状況に立たされることが多いです。利益が確保できていないため、新規事業やマーケティングへの投資余力が減少し、技術革新や新製品開発に遅れを取る可能性があります。
4. 信用格付けの低下
金融機関や信用調査機関からの信用格付けが低下するリスクもあります。借入金利が上昇し、資金調達コストが増加するだけでなく、新たな融資の獲得が困難になります。事業拡大や経営改善のための資金が確保できなくなる状況を引き起こす可能性もあります。
5. 従業員への影響
コスト削減策として人件費の抑制や人員削減が行われることがあり、これにより従業員の士気や労働生産性が低下するリスクがあります。また、将来的な昇給やボーナスが削減されることもあるため、優秀な人材が離職する可能性も高まります。
6. 将来的な成長戦略の制約
内部留保を十分に蓄積できず、将来的な成長戦略や設備投資、研究開発などに割ける資金が不足します。成長のための新規事業や新たなマーケティング戦略の展開が遅れ、競合企業に市場シェアを奪われるリスクが高まります。
注意点:一時的なマイナスの捉え方
営業利益率が一時的にマイナスになったとしても、それが必ずしも悪い兆候であるとは限りません。特に、事業拡大や新規事業の立ち上げの際、初期投資が重なると一時的に営業利益率が低下することは珍しくありません。将来の成長を見据えた上で計画的にリスクを取っている場合には、マイナスが短期的なものであり、長期的にはプラスに転じる可能性があることも理解しておきましょう。
コスト削減策のひとつとして人員削減が検討されることがありますが、これは慎重に行うべきです。人員削減は短期的なコスト削減には効果的ですが、企業の長期的な成長や競争力を損なうリスクも伴います。
コストを直接的に削減できる手段ですが、短絡的なリストラは企業の士気を低下させ、長期的にはマイナスの影響をもたらす可能性があります。人員削減を行う際には、以下の要素を考慮する必要があります。
非コア業務の縮小やアウトソーシング:
競争力に直接影響しない非コア業務に対して、業務をアウトソーシングすることでコストを削減する方法が有効です。
適切な配置転換:
すべての従業員が最大限の価値を発揮しているとは限らないため、適切な配置転換を行うことで、既存の人員を効率的に活用できることがあります。
早期退職制度の導入:
強制的な解雇ではなく、早期退職を希望する従業員に対して退職パッケージを提供することで、人員の自然な減少を促進することが可能です。
人員削減と並行して、生産性向上の施策を実行することで、少ないリソースでより大きな成果を上げることが可能です。
業務の自動化とIT活用:
単純作業や反復作業については、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やITツールを導入することで自動化し、人的リソースを削減できます。
従業員のスキルアップ:
従業員に対してトレーニングやスキルアップの機会を提供し、生産性を高めます。少ない人員でより多くの業務をこなすことが可能になり、コスト削減を達成します。このとき、『成果に繋がるトレーニング』であるかどうか、『実際にトレーニングがスキル向上に繋がり、その結果成果が向上したかどうか』をチェックできる体制を構築しておく事が肝要です。
業務プロセスの見直し:
現状の業務プロセスに無駄がないかを見直し、業務フローを再構築することも生産性向上に繋がります。機械やITに任せられる部分は任せ、人は人がやるべきことのみにフォーカスする事が重要です。また、非効率な会議の削減や、社内コミュニケーションの迅速化を図ることで、従業員が本来の業務に集中できる環境を整備します。
リモートワークの活用:
テレワークやフレックスタイム制度を導入することで、従業員の働き方に柔軟性を持たせ、無駄な通勤時間やオフィス運営コストを削減しながら、生産性を維持または向上させることが可能です。
過度なプレッシャーや業務負担の増加は、逆に士気を低下させ、長期的な生産性の低下を招く可能性があります。適切な労働環境を提供し、従業員が健康的かつ効率的に働ける環境づくりが不可欠です。
営業利益率が低下した場合、業務フローの見直しはコスト削減と生産性向上のための効果的な手段です。業務プロセスには無駄や重複が含まれていることが多く、それを改善することで、企業全体の効率を高めることができます。以下に、業務フローを見直すための具体的な手法を紹介します。
業務の各ステップや関わる部門、時間のかかる箇所を可視化することで、問題点や無駄を明確にすることができます。
フローチャートの作成:
各業務の流れをフローチャートやプロセスマップとして視覚的に整理します。誰がどのタイミングでどの作業を行っているか、どこにボトルネックがあるのかを把握しやすくなります。
従業員からのフィードバック:
業務を遂行している従業員からの意見を聞くことで、現場の視点から効率を阻害している要因を把握できます。現場レベルでの改善提案は実行しやすく、即効性のある効果をもたらすことがあります。
重要なのは無駄なプロセスや時間のかかりすぎている作業を特定し、それを削減することです。
冗長な承認プロセスの簡素化:
多くの企業では、複数の承認プロセスが存在しますが、必ずしも必要でない手順が含まれていることがあります。不要な承認を省略し、迅速に意思決定ができるようにすることで、業務スピードを向上させることができます。
業務の自動化:
手動のデータ入力や報告作業などは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やその他の自動化ツールを導入することで削減できます。
重複作業の排除:
異なる部署やチームで同じ作業を行っている場合、役割分担を明確にして重複を排除します。例えば、営業部門とマーケティング部門で同じデータ収集をしている場合、それを一元化することで効率を向上させます。
業務フローを見直す際、作業を標準化し、最も効果的なプロセスをベストプラクティスとして全社的に展開することが重要です。
作業手順の統一:
異なるチームや部門でバラバラの手順が行われている場合、作業手順を統一し、最も効率的な方法を全社に適用します。
チェックリストの導入:
チェックリストを作成し、漏れやミスを防ぎます。複雑なプロセスや、多くのステップを含む業務では、チェックリストを使用することで作業がスムーズに進行します。
ツールやソフトウェアを活用することで、業務の見直しと改善が一層効果的に行えます。プロジェクト管理やタスクの割り当て、進捗状況の把握などに役立ちます。
プロジェクト管理ツール:
TrelloやAsanaなどのプロジェクト管理ツールを使い、業務の進捗状況を一元管理します。各タスクの状況や遅れが発生している箇所をリアルタイムで確認でき、業務の流れをスムーズに保つことができます。
ワークフロー管理ツール:
業務プロセス全体を可視化し、無駄な作業の排除や効率的な流れを実現します。業務フローの改善をシステム化し、持続的な効率化を達成します。
重点顧客に対するアプローチを再評価し、効果的な営業活動を展開することで、売上と利益を最大化することができます。ここでは、重点顧客に焦点を当てた営業戦略の見直し方法を解説します。
企業の収益に大きく寄与している、または今後の成長が期待される顧客層を指します。まずは、現在の重点顧客が本当に適切な対象かどうかを再評価し、必要に応じてセグメント化を見直します。
顧客の収益貢献度の分析:
過去の取引データを基に、どの顧客が最も高い利益率をもたらしているかを分析します。売上は大きくても利益率が低い顧客や、コストがかかりすぎている顧客に対しては、戦略を見直す必要があります。
成長ポテンシャルの見極め:
現在の利益率が低くても、将来的に大きな成長が見込める顧客は、重点顧客として維持・強化する価値があります。過去のデータだけでなく、今後のビジネス展開や市場動向を考慮し、顧客の成長ポテンシャルを評価します。
顧客セグメンテーションの再分類:
顧客を規模、業種、地域、取引履歴などに基づいて再分類し、セグメントを明確にします。収益性が高く、成長が期待できるセグメントにリソースを集中させることが、営業利益率の向上に繋がります。
単なる商品やサービスの販売ではなく、顧客のニーズに応じたカスタマイズされた提案を行うことが必要です。
顧客の課題にフォーカス:
顧客ごとの課題やニーズを理解し、それに基づいて提案を行います。単に製品やサービスを提供するのではなく、顧客の問題解決や成長に寄与するソリューションを提案することで、長期的な取引関係を築くことができます。
パーソナライズされた営業活動:
顧客に合わせた個別のアプローチを強化し、パーソナライズされた提案やコミュニケーションを行います。CRM(顧客関係管理)システムを活用して、顧客の取引履歴や過去の接点を把握し、最適なタイミングで効果的な営業活動を行います。
重点顧客との強固な関係を築くことは、安定した売上と長期的な収益増加に繋がります。
顧客フォローアップの徹底:
重要な顧客に対しては、取引後のフォローアップや定期的なヒアリングを行い、満足度や問題点を確認します。顧客のニーズや不満を早期に察知し、適切な対応を取ることが可能になります。
顧客ロイヤルティプログラムの導入:
リピーターや高い取引実績のある顧客に対して、特別サービスや割引を提供します。
営業活動自体の効率化も重要です。無駄の多い営業活動はコストがかさみ、利益率を圧迫します。
営業プロセスの自動化:
見積もり作成や契約書管理など、手間のかかる営業プロセスを自動化することで、営業担当者がより多くの時間を重点顧客との関係構築に割けるようにします。
データ活用による営業支援:
データを活用して顧客の購買傾向や行動パターンを把握します。最適なタイミングで効果的な提案を行えれば成約率は向上します。
重点顧客に対しては、クロスセル(関連商品・サービスの提案)やアップセル(上位プラン・商品への誘導)を積極的に推進することが収益増加に繋がります。
既存顧客への追加提案:
補完的な商品やサービスを提案することで、1顧客あたりの売上を増やすことができます。顧客が抱える課題やニーズを把握し、それに応じた提案を行うことが重要です。
上位プランやオプションの提案:
既存の契約内容よりも上位のプランや付加価値の高いオプションを提案し、収益の拡大を図ります。
営業利益率を向上させるための手段の一つに、営業変革があります。従来のやり方の延長線上を狙うのではなく、根本から変え、戦略・体制・戦術・トレーニング・フォロー体制を見直し、一人ひとりの行動を変えていきます。
代表的なものに「モノ売りからコト売りへ」というテーマがあります。「モノ売り」は製品やサービスそのものを販売する営業スタイルですが、これに対して「コト売り」は、製品やサービスを通じて顧客に提供する価値や経験を売るアプローチです。この記事を読んでいる皆様には釈迦に説法だと思いますが、これは、従来通りの「モノ売り」をやっていると「依頼されたモノしか売れない」という状態になってしまい、売上の金額も頻度も少なくなりがちです。
しかし、「顧客はモノが欲しいのではなく課題を解決する為にモノが必要だからモノを買う」ということを念頭に置くと、「だったら課題を把握し、課題を解決するコト自体をまるごと受注してしまおう」というのが「コト売り」の発想です。
さらに言えば、顧客が認識していない課題も世の中にはたくさんあり、そこまで顧客の立場になって考え、顧客の事業成長を支えていくという営業スタイルに昇華させているケースもあります。
このような営業変革を目指す場合、特に関わる人数・部署が増えれば増えるほど、実行する難易度は跳ね上がります。それぞれの状況に合わせた進め方・注意点がありますので、まずはお気軽に弊社のコンサルタントにご相談ください。
新しい収益源を開拓し、既存事業だけに依存しない経営基盤を築くことで、営業利益率を向上させ、持続的な成長を実現することが可能です。新規事業開発を成功させるためのポイントを列挙します。詳細は弊社Webinar等でご確認ください。
営業利益率の改善方法
主要なKPIの設定方法
営業利益率を改善するためには、進捗や成果を客観的に評価するためのKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。KPIは、企業の目標に向かって適切に進んでいるかどうかを測定する指標であり、営業利益率を向上させるための具体的なアクションの成果を評価する基準となります。下記に主なKPIと注意点を記載します。
売上高関連のKPI
コスト削減関連のKPI
営業活動に関するKPI
顧客満足度と顧客維持に関するKPI
フィードバックと調整
KPIを設定した後は、定期的にフィードバックを行い、目標達成状況を確認します。達成できていない場合は、原因を分析し、適切な改善策を講じることが重要です。また、市場や競争環境が変化する中で、KPIも柔軟に調整していくことが必要です。
1. KPIの定期的なモニタリング
営業利益率に関連するKPIを定期的にモニタリングすることで、現状のパフォーマンスを把握します。通常、四半期ごとのレビューが効果的ですが、業界や企業の状況に応じて月次、または毎週レビューを行うこともあります。
データの収集と分析:
売上高、コスト、顧客維持率、成約率など、設定したKPIに基づいてデータを集め、パフォーマンスを評価します。集めたデータをもとに、目標達成の進捗を確認し、どの領域で改善が必要かを特定します。
現場の意見を反映する:
数字上のデータだけでなく、営業担当者や現場からのフィードバックも重要です。現場で実際にどのような課題があるのか、改善できるアイデアを取り入れることで、KPIをより正確に達成するための具体的な改善策を見つけることができます。
2. 問題点の特定と原因分析
定期レビューを通じて、目標に達していない部分や営業利益率に悪影響を与えている要因を特定します。
ギャップ分析:
KPIと実際の数値にギャップがある場合、その原因を分析します。例えば、売上目標に達していない場合は、リード数が不足しているのか、成約率が低いのか、顧客単価が下がっているのかを検証します。
根本原因の特定:
根本原因を特定し、問題を解決します。例えば、成約率が低い場合、営業スキルの不足や競合の影響、価格設定の問題など、複数の要因が絡んでいる可能性があります。
3. 改善策の立案と実行
問題点を特定した後は、具体的な改善策を立案し、それを実行に移します。改善策は実行可能で、効果が見込まれるものに優先順位をつけ、段階的に取り組みます。
改善アクションプランの作成:
問題に対して、どのような改善策を実行するのかを明確にし、具体的なアクションプランを策定します。例えば、成約率が低い場合は、営業トレーニングの実施、営業資料の見直し、顧客対応プロセスの改善などが考えられます。
優先順位の設定:
すべての改善策を一度に実行するのではなく、影響が大きく、短期的に効果を発揮するものを優先して実行します。リソースが限られている場合には、最も効果が見込める施策に集中させます。
担当者と期限の設定:
改善策を確実に実行するために、担当者と期限を設定し、進捗を管理します。責任の所在を明確にすることで、改善策の実行がスムーズに進み、実際の成果に繋がりやすくなります。
4. 効果測定とフィードバックのサイクル
改善策を実行した後は、効果を測定し、次のステップへ進むためのフィードバックを行います。効果測定を通じて、改善策が営業利益率にどのように影響を与えたかを確認し、次のアクションに活かします。
KPIの再評価:
改善策が設定したKPIにどのように影響を与えたかを再評価します。売上が増加したのか、コスト削減が成功したのか、顧客満足度が向上したのかを確認し、効果があった施策は継続します。
PDCAサイクルの活用:
改善プロセスを「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)」のサイクルで継続的に実施します。
柔軟な調整:
環境や競争状況が変化した場合には、KPIや改善策を柔軟に見直す必要があります。例えば、新しい競合が登場した場合には、価格戦略や営業戦術を迅速に変更し、営業利益率を保つための対応を行います。
5. チーム全体での共有とコミュニケーション
改善策の実行や効果測定は、営業部門だけでなく、企業全体で共有し、適切なコミュニケーションを行うことが重要です。
進捗状況の可視化:
KPIの進捗状況や改善策の成果をチーム全体に定期的に報告し、目標に向けて全員が同じ方向を向いて取り組めるようにします。定期的なミーティングや報告書を通じて、成果や課題を共有します。
成功事例の共有:
改善策が成功した場合、その成功事例を他のチームや部門とも共有し、全社的にベストプラクティスとして取り入れることで、営業利益率の改善を組織全体で推進することができます。
まとめ
営業利益率の向上は、企業の収益基盤を強化する上で最重要課題の一つです。改善のポイントは大きく3つ。第一に、コスト最適化と業務効率化によるボトムライン改善。第二に、「モノ売り」から「コト売り」へのシフトによる顧客価値の最大化。第三に、新規事業開発を通じた収益源の多角化です。これらの施策をKPIで可視化・管理しながら、市場動向に応じて機動的に展開することで、持続的な収益力の向上を実現できます。
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