営業プロセスを可視化!具体的な実践方法を徹底解説

Enablement Writer 清水 麻友

営業活動の効果的なマネジメントには、営業プロセスの可視化(型化+計測)が欠かせません。可視化によって営業担当者の具体的なアクションが明確になり、ボトルネックを特定して効率的に課題を解決できます。営業プロセスの見える化は、属人的だった営業活動を標準化し、最適化するための第一歩です。

ただし、可視化は始まりに過ぎず、定期的なPDCAサイクルを通じて、営業活動を継続的に改善していくことが重要です。本記事では、営業プロセスを可視化するメリットや重要性、具体的な方法について詳しく解説します。

営業プロセスとは

営業プロセスとは

営業プロセスとは、営業活動全体を一連の段階に分けて体系化したものです。自組織においての理想の営業活動を標準化し、一人でも多くの営業パーソンがこれらを体現できるようにすることで、組織として効率的に顧客に価値を届けることが主な目的です。主に、フェーズ、Key Action に分けて整理されます。

フェーズは顧客の状態を定義したもので、「課題合意→担当者合意→部署合意」などと「合意」を中心にすると整理しやすくなります。Key Action は、各フェーズでやるべきことで、例えば「課題合意フェーズ」なら「不信を解く→現状ヒアリング→仮説をぶつけて信頼を得る→理想を聞いてGAPを特定する→今回解くべき課題を合意する」などです。

このプロセスを構築することによって、チームとして一貫した手法で顧客と向き合うことができ、成果を出しやすくなります。また、営業活動の進捗状況が可視化されるため、理想とのGAPの把握や改善策を打つことが容易になります。

営業プロセスを可視化するメリット

営業プロセスの可視化には、各フェーズを視覚的に示すフローチャートや、営業活動の進捗状況を把握するためのダッシュボードなどが役に立ちます。これらは主に、CRM(顧客関係管理)システムやSFA(営業支援システム)と呼ばれる営業支援システムを使うことで、リアルタイムに把握することが可能になります。

また、営業プロセス自体の見直し、改善を継続的に行うことも重要です。定期的なミーティングやレビューセッションを行い、営業プロセスを常に最適な状態で維持します。営業やビジネスを取り巻く環境は日に日に変わっているので、営業プロセスは一度作れば終わりということではありません。

以下に、営業プロセスを可視化することによる主なメリットを解説します。

営業活動を標準化と、属人化の脱却

営業担当者個々のやり方に依存することなく、全員が同じ基準に基づいて営業活動を行うことができるようになることで、営業活動の標準化が促進されます。新人営業担当者でもベテラン営業担当者と同じプロセスに従って行動でき、成果を上げやすくなります。

予測精度の向上

営業活動の各ステージでのデータをリアルタイムで把握でき、将来の売上予測の精度が向上します。たとえば、各フェーズでのコンバージョン率やリードの進捗状況を把握することで、今後の売上見込みを正確に予測できます。

また、過去のデータをもとに傾向を分析することで、季節的な変動や市場の変化に応じた戦略を立てることも容易になります。

顧客データの一元管理と分析

CRMやSFAシステムを活用することで、顧客データを一元管理でき、営業チームは最新の顧客情報を共有し、適切なタイミングで適切なアクションを取ることができます。たとえば、顧客の購買履歴やコミュニケーション履歴をもとに、よりパーソナライズされたアプローチを取る施策が可能です。

パフォーマンスの評価の改善

データに基づいてパフォーマンスを評価することで、どのフェーズで成果が出ているのか、どこに改善の余地があるのかを把握できます。それに合わせ、効果的なトレーニングやフィードバックを実施すれば、チーム全体のスキルアップが期待できます。

営業プロセスを可視化するためのプロセス

ステップ1:目標とプロセスの定義

最初のステップは、目標とプロセスを定義することです。組織全体で共通の方向性と理解を持ちながら、営業活動を進めることができるようになります。

営業プロセスは前述した通り、「自組織においての理想の営業活動」です。ここで注意すべきなのは、各個人の理想をまとめることではないということです。あくまでも組織目標、組織の方向性をまとめた「営業戦略」に沿って定義していきます。戦略として、例えば「新規開拓」をメインにしている場合と、「既存深耕」をメインにしている場合では、営業プロセスは全く違ってきます。もっと言えば、「新規の件数」と「新規の受注金額」や「新規からのLTV」のどこに焦点を置くかによっても変わってきます。

自組織の営業戦略を目標とし、それを元にプロセスを定義する必要があります。

主な手順は以下です。
1. 自社で一番営業戦略に沿った理想的な活動ができている人(ハイパフォーマー等)や営業責任者のインタビューをする
2. 理想的な活動ができていない人のインタビューを実施しする
3. 1と2のGAPの整理をしたり、ポイントを見極めることで理想の営業活動を定義していく(模倣できないような難易度の活動にしないことが重要です)

ステップ2:営業プロセスを組織全体で共有と共通認識

営業プロセスが定義されたら、それを組織全体で共有し、全員が統一した理解を持てるようにします。営業チームだけでなく、マーケティング、カスタマーサポートなど、関連する部門全体が同じ方向を向いて行動するためです。

共有方法としては、営業プロセスを文書化や定期的な社内研修、普段のミーティング、1on1を通じて、プロセスの重要性と各ステップでの具体的な行動について説明し、全員が理解・実行できるようにします。

ステップ3: プロセスの検証体制の構築

営業プロセスを定義し組織全体で共有した後は、そのプロセスが現実に機能しているかを確認し、必要に応じて改善します。このステップでは、定義したプロセスが実際の営業活動に適しているかどうかを検証し、効果的に機能するように調整していきます。

営業プロセスが機能するためには、ツールの導入も検討すべきでしょう。営業活動を効率的に管理し、プロセス全体をモニタリングするには欠かせません。メジャーなものにSFA(Sales Force Automation)があります。

SFAには、以下のような機能があります。

・リードと商談の管理: 各リードや商談の進行状況を一元管理し、次に取るべきアクションを明確にする。
・進捗状況のモニタリング: 営業プロセスの各ステージにおける進捗状況をリアルタイムで追跡し、ボトルネックを特定する。
・データの可視化: ダッシュボードやレポート機能を利用して、営業活動の成果を視覚的に確認する。
・タスクの自動化: 定型業務の自動化により、営業担当者がより重要な業務に集中できるようにする。

SFAを効果的に活用するためには、前述のステップで定義した営業プロセスと具体的なアクションをシステムに統合することが重要です。システム上で営業プロセスの各ステップが明確になり、営業担当者がどのタイミングで何をすべきかを確認できるようになります。

まず、SFAに営業プロセスの各フェーズを登録し、それに応じた具体的なアクション項目を設定します。たとえば、「リードジェネレーション」フェーズでは、「リードのリサーチ」や「初回コンタクト」などのアクションが含まれます。次に、各アクションに対して期限や責任者を設定することで、営業担当者が自分のタスクを把握し、計画的に進めることができます。

さらに、営業プロセスの進捗状況やKPIをシステム上でリアルタイムにモニタリングし、必要に応じてプロセスを調整します。あるフェーズで商談が停滞している場合、その原因を特定し、改善策を講じることが可能です。

最終的には営業戦略が実現できているかどうかをチェックします。営業戦略の進捗が遅い場合は営業プロセスそのもの、またはプロセスの実行部分のどちらかに原因があります。SFAや日々のミーティングを通じて原因を把握し、必要に応じて営業プロセス全体を見直すことも大切です。

まとめ

営業プロセスの可視化・活用方法について具体的な実践方法をご紹介させていただきました。

営業プロセスの可視化により、プロセス設計や進捗状況を明確に把握できるようになることで、誰でも同じように成果を上げられる仕組みを構築できます。営業活動の効率化と標準化を実現し、属人化からの脱却、組織全体の営業力向上につながります。

また、可視化されたプロセスはトレーニングの基盤となり、 新人教育やスキルアップへつながり、チーム全体の能力向上が期待できます。 さらに、具体的な数値やデータに基づいたフィードバックが可能になります。

結果として、営業プロセスの可視化は、個人の能力に依存しない安定した営業成果と、組織の継続的な成長に繋がります。

現状を見直し、営業プロセスを可視化し、より良い営業活動に繋げていきましょう。

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