営業フローとは?基本的な流れから作成方法、メリットまで徹底解説

Xpotential Sales Enablement Consultant

営業活動を成功に導くためには、明確な「営業フロー」を構築し、チーム全体で共有・活用することが欠かせません。営業フローとは、営業プロセスの各段階を整理し、具体的なアクションを体系化したもので、属人的な営業活動を防ぎ、組織としてのパフォーマンスを最大化できます。

本記事では、「営業フロー」の定義や重要性、基本的な構成要素から、作成・活用・改善方法を解説します。営業フローの基本を理解し、実務に取り入れ、チーム全体の成果を向上させましょう。

営業フローとは?

営業フローの定義

営業フローとは、営業プロセスを段階的に整理し、具体的なアクションを体系化したものです。企業や組織内で統一された営業フローを持つことで、営業活動の属人性を抑え、効率的かつ効果的な営業運営を実現します。このフローには、リード獲得からクロージングまでの一連の流れが含まれ、それぞれのフェーズごとに目的や具体的な行動が明確化されています。

営業フローが必要とされる背景

営業フローの重要性が増している背景には、以下の要因があります。

■属人的な営業活動の限界

経験やスキルに頼った営業では成果が担当者に依存しやすく、パフォーマンスのばらつきが発生します。標準化された営業フローを導入することで、この課題を解消できます。

■顧客の購買行動の変化

顧客は以前よりも購買プロセスにおいて情報収集を自ら行うようになり、営業担当者が関与するタイミングが遅れるケースが増加しています。そのため、各フェーズでの適切な対応が重要になっています。

■データ活用の重要性

効率的に営業活動を分析・改善するには、一定のプロセスに基づいたデータが必要です。営業フローの導入により、営業活動の可視化とデータの蓄積が可能になります。

■チーム全体のパフォーマンス向上

統一された営業フローは、新人育成やチーム全体の効率向上にも寄与します。特に規模の大きい組織では、全員が同じ基準で営業活動を進めることで成果を最大化できます。

営業フローの7つの主要ステップ

一般的な営業フローの7つのステップを以下に解説します。

1. リード獲得

見込み顧客を発掘するプロセスで、主に以下の手法が用いられます。

  • オンライン広告やSNSマーケティングを通じたリード獲得
  • セミナーや展示会での名刺交換やアンケート回収
  • 過去顧客や既存顧客からの紹介依頼

目的は、潜在的な興味やニーズを持つ顧客情報を収集し、ターゲットを明確化することです。

2. アプローチ

獲得したリードに対して最初の接触を行う段階です。重要なのは、顧客の興味を引きつけ、信頼関係を築くことです。

  • 電話やメールによるコンタクト
  • パーソナライズされたメッセージで関心を喚起

3. ニーズヒアリング

顧客の課題やニーズを深掘りするステップです。ここでは、営業担当者が顧客の状況や期待を把握することが求められます。

  • 顧客の現状と理想の状態のギャップを特定する
  • 質問力を活かして具体的な課題を明らかにする
  • 競合他社の影響や購入の障壁を確認する

4. 提案・商談

顧客のニーズに基づいた具体的な提案を行い、製品やサービスの価値を伝えるプロセスです。

  • 顧客の課題解決に最適なソリューションを提示
  • 製品の特徴だけでなく、具体的なメリットを強調
  • ケーススタディや成功事例を共有して説得力を高める

5. フォローアップ

商談後、顧客が抱く疑問や不安を解消する段階です。定期的なフォローアップで関係性を維持し、成約率を向上させます。

  • 追加情報や見積もりの提供
  • 購入決定を促進するためのタイミングを見極めた連絡

6. クロージング

顧客の意思決定を最終的に促すフェーズです。

  • 失注リスクを一つずつ解消していく(関連部署は他に無いか、事業計画からの優先順位に変わりはないか、競合他社に流れることはないか等)
  • 提案内容を明確に提示し、回答の期限を合意する

7. 承認フローサポート

顧客側で承認を得る必要がある場合に、スムーズな進行を支援します。

  • 必要書類や情報を迅速に提供
  • 顧客企業内の意思決定プロセスを理解し、適切に対応

営業フロー作成の基本ステップ

営業フローを構築するには、現在の営業活動を可視化し、具体的な目的とアクションを体系化することが重要です。以下の基本ステップを通じて、効果的な営業フローを作成する方法を解説します。

1. 現状の営業プロセスを整理する

まず、現状の営業活動を洗い出し、各プロセスの流れを把握します。

  • 営業担当者やチームが現在どのように営業を進めているかを確認
  • 実際に行われているアクションや対応をステージごとに分解
  • 成功事例と課題が明確になるよう、過去の営業データを活用

ポイント: 属人性の高いプロセスや曖昧な部分を明らかにし、標準化の対象を特定する。

2. 各フェーズの目的・定義を明確化する

営業フローの各ステップにおける目的と定義を設定します。

例:「リード獲得」
目的:会社として連絡が取れる状態にすること
完了の定義:「メールアドレスと電話番号、氏名、部署、役職」が埋まっている状態

例:「提案・商談」
目的:担当者及び担当部署を巻き込み商談を前進させる
完了の定義:担当部署の口頭合意(稟議や決裁者による決裁等は残っている)

ポイント:
目的を明確にすることで、各フェーズ内で何を成す為の活動かわかった上で活動ができ、活動の方向性がズレない。
定義を明確にすることで、フェーズ転換意味合い、重みを社内で一致させることができ、パイプラインによる売上予測の精度向上やフェーズ転換率によるボトルネック改善に繋げられる。

3. 必要なアクションを整理する

各フェーズで取るべき具体的な行動を洗い出します。

  • 「リード獲得」での具体的アクション例:共催ウェビナーの開催、展示会出展、SNS広告運用、問い合わせフォームの設置
  • 「クロージング」での具体的アクション例:リスト化された失注リスクのチェック、提案価値の社内での再確認と顧客への最終提示

ポイント: アクションを具体的に設定し、チーム全体で共通理解を持てるようにする。重要なタスクは明確化し、ツールやリソースの活用方法も整理する。

営業フロー設計時の注意点

営業フローを設計する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、設計時に特に意識すべき重要な注意点を解説します。

1. 顧客視点で設計する

営業フローは企業側の都合だけでなく、顧客の購買プロセスを意識して設計する必要があります。

  • 顧客がどのように情報を収集し、比較検討し、購入に至るのかを把握する
  • 各ステップで顧客が抱える不安や疑問に対応できるアクションを含める

2. ハイパフォーマーの行動を参考にするが、実行可能で現実的なフローを構築する

基本的には、営業チーム内の優れた営業担当者の成功パターンを参考にしますが、一部のハイパフォーマーの行動は模倣困難性が高く、その人にしかできないこともあります。その際はその下の人がやっている行動を参考にするなど、チーム全体で再現可能なフローを作成しましょう。

  • ハイパフォーマーの行動をモデル化し、必要なスキルやリソースを整理する
  • 再現性の低い特殊なアクションやリソースに依存しないフローにする

3. 複雑な営業ほど細かく決め過ぎない

複雑な商材や取引先の多様性が高い営業では、フローを細かく定義しすぎると実行が困難になることがあります。

  • 必要最低限の合意項目だけを設定し、柔軟性を持たせる
  • 各営業担当者が個々の状況に応じたアクションを取れる余地を残す

例: ニーズヒアリングの際には、質問の具体例を提示するが、必ずしも順番通りに進める必要はない。

営業フローを活用するメリット

営業フローを運用することで、チーム全体の営業活動を効率化し、成果を最大化することができます。ここでは、営業フローを活用することで得られる主なメリットを解説します。

1. データが迅速に蓄積し、改善サイクルを回しやすくなる

営業フローを統一することで、同じアクションを全員が実行し、データが一貫して収集されます。データを基に分析を行うことで、プロセス全体の改善サイクルを加速できます。

  • 例: 「リード獲得」フェーズでの成功率が低い場合、アプローチ方法を見直すなど、早期に問題点を特定・改善可能。

2. 営業成果のばらつきを軽減できる

標準化された営業フローにより、営業担当者ごとの成果のばらつきを抑え、チーム全体のパフォーマンスを向上させます。

  • 経験の浅いメンバーでもフローに沿って進めることで、一定の成果が期待できる
  • ハイパフォーマー以外でも再現性の高い営業活動を実現可能

営業フローの見直しと改善方法

営業フローは一度作成して終わりではなく、常に現状に合わせて見直し、改善を続けることが重要です。ここでは、効果的な見直しと改善の方法を解説します。

1. 定期的にデータに基づく見直しを実施

営業フローの各ステップで得られたデータを基に、現状の課題や改善ポイントを分析します。

  • 各フェーズごとのKPI(例:リード獲得数、商談成立率など)を定期的に確認
  • 成果が低下しているフェーズを特定し、原因を追究
  • チーム内のフィードバックを収集し、現場の声を反映

例: アポ打診の反応率が低下している場合、顧客が興味を持つ内容を再検討し、メールや電話の内容を調整する。

2. KPIと連動させる

営業フローの見直しには、KPI(重要業績評価指標)との連携が不可欠です。

  • 営業フロー全体をKPIと結び付けることで、成果を可視化しやすくなる
  • 目標達成に直結する部分を重点的に改善する
  • 達成度をデータで把握し、営業活動を効率化

例: 提案・商談フェーズの受注率を向上させるため、提案資料のクオリティや商談中のトーク内容を改善する。

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