世界最大の人材育成協会ATDの『Sales Enablement Certificate Program』から学ぶ成果起点の営業育成

Sales Enablement Consultant 岡 成希

世界最先端の営業強化法として米国で誕生し、近年国内でも導入が進むセールスイネーブルメント。2019年の創業以来、弊社も多くの企業のイネーブルメントのご支援に携わってまいりましたが、日本では比較的新しい取り組みであるイネーブルメントについて、イネーブラー同士のネットワーキングの場や海外の最新情報をインプットできる機会のご提供にも日々努めています。その一環で、世界最大の人材育成協会ATDとコラボレーションし、昨年秋頃、『ATD Sales Enablement Certificate Program』を開催いたしましたので、ご紹介します。

1.「人の成長を通じた持続的な営業成果創出の仕組み」セールスイネーブルメント

「トップセールスへの依存体制から脱却したい」
「新人営業の育成や成果のバラつきを解消し、即戦力化を図りたい」
「環境変化に適応できる強い営業組織を作りたい」

このような課題に対して、真っ向から向き合うのが「セールスイネーブルメント」です。セールスイネーブルメントとは、「人の成長を通じた持続的な営業成果創出の仕組み」をいいますが、その実現のために「営業パーソンの行動を変えること」に主眼を置き、その手段として、ITツールやデータ活用、育成施策を“一気通貫で有機的に組み合わせる”という点に特徴があります。

Sales Enablementの仕組み

そのうえで、セールスイネーブルメントのコアとなるのが、達成したい営業成果を起点に、必要な行動や習得すべき知識・スキルを逆算して育成施策へ落とし込み、成果に至ったかどうかを検証する“成果起点の人材育成”であると弊社は捉えており、「単発のトレーニング」や「OJT」などの旧来の育成では解決できなかった営業育成課題の解決に寄与できる新たなアプローチであると考えています。

成果起点の人材育成
※令和2年8月7日(2020.8.7)「営業人材開発支援システム、営業人材開発支援方法、および営業人材開発支援プログラム」の名称で特許取得済み(特許第6746184号(P6746184))
※令和4年6月13日(2022.6.13)「育成施策情報処理装置、育成施策情報処理方法および育成施策情報処理プログラム」の名称で特許取得済み(特許第7088570号(P7088570))

2.世界最大の人材育成協会ATDが示す「成果起点の実践的な育成体系の作り方」

皆さまは、世界最大の人材育成協会ATD(ASSOCIATION FOR TALENT DEVELOPMENT) をご存じでしょうか。

ATDは1943年に米国で設立され、その後急速に拡大、現在では世界に120以上の拠点を持ち、これまでに10万人以上のプロフェッショナル、数々のリーディングカンパニーに対してさまざまな育成プログラムを提供しています。

私たちR-Square & Companyは“セールスイネーブルメントのプロフェッショナル”として、日々多くの企業のイネーブルメント導入支援に携わっていますが、「日本のイネーブラーに必要な知識・スキルに加えグローバルの最新事例をご提供できる場を増やしたい」との想いから、ATDのReza Sisakhti博士(セールスイネーブルメント領域の専門家)をお招きし、「成果起点の実践的な育成体系の作り方」をテーマとした講座を2021年、2022年と2年連続で開催しました。
※これまでは現地米国開催かつ集合形式、英語のみで提供されていたプログラムを、初めて日本語かつオンラインで受講できるよう企画しています。

本講座では、Reza氏にセールスイネーブルメントの最新理論から実践的な育成体系の作り方にいたるまで、事例を交えながら解説いただきましたが、Reza氏は「人の行動を変えるためには、“人材育成” “採用” “ITテクノロジー” “評価・報酬制度” “セールスコーチング”の5つのコンポーネントを整備することが肝要である」と説き、私たちのコンセプトと非常に近しい考え方を示されていました。

出典:Reza博士の開発したイネーブルメントモデル / Association for Talent Development

3.イネーブラーに聞く“持続的な成果を生み出す営業組織開発・営業育成”においてもっとも重要なこと

本講座には、まさに今イネーブルメント推進中であったり、これから強化していく企業のイネーブルメントご担当者に多くご参加いただきましたので、当日の様子やご参加者の声をここでぜひご紹介できればと思います。

当日の進め方

スモールグループに分かれ、受講生(営業マネージャー、イネーブラーなど)が実際営業育成プログラムを作り上げる上で直面している課題やケースを基に、次のような流れでアウトプットしました。

①成果(Business Requirement)の再定義
②成果(Performance Requirement)を出すために必要な特定行動の定義
③スキルと知識との紐づけ
④実行・導入プランの立案
⑤成果測定のプランニング

自分たちの直面している課題という“いきた素材”を扱いながら、成果・行動・スキル・知識のつなげ方や営業育成プログラムのPDCAサイクルを設計するために必要な「実践で使える知識やスキル」を、グループワークを通じて身に着けていただきました。

参加のメリット

本講座ではイネーブラーを現場で支えるための理論・ツール・テンプレート・過去事例などが余すことなく講師からシェアされ、一定の要件を満たすと、ATDから修了書(Certificate of Completion)が付与されます。また、他社イネーブラーとの意見交換やネットワーキングの場としても受講者から大変好評をいただきました。

ご参加者の声

ご参加者の皆さまに、「“持続的な成果を生み出す営業組織開発・営業育成”においてもっとも重要なこととは?」というテーマでご受講後ご意見をお伺いしましたので、公開可能な範囲でご紹介いたします。

  • ビジネス要件の定義と、それに基づくコンピテンシー、と実行する上で営業リーダーとのコミュニケーションを密に取って評価を正しく図り、報告することの全サイクル
  • 手段先行にならず、目的やビジネス要件を明確にした上で徐々に手段まで落としていく。その過程はアジャイルに
  • とにかく、全てのプログラムがビジネス目標にしっかりと紐づけられていることが一番だと思います。残念ながら、多くの場合、新たなプロダクトや考え方を教えるという、あまりよくないトップダウンアプローチになっていると考えます。 弊社はデータの会社なのでEnablementとも大変相性がよく、すでにデータドリブンセールスを行ってはいますが、Enablementプログラムとの紐付けはまだまだこれからです。 このトレーニングをきっかけに、よりビジネススポンサーの巻き込み、効率的なハイヤリングのサポートや、営業メンバーとのコミュニケーションに関わってまいりたいと思います。
  • 成果と行動、トレーニング、評価などのデータを基に、データドリブンでPDCAを行うこと
  • WCSSM活用の上で、偏りなくすべての項目をシステムとして機能させること

一見壮大で難解に見えるセールスイネーブルメント。その第一歩を踏み出し、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら着実に成功事例を作り続けているイネーブラーの皆さまが日頃から意識されているのは、「目的の明確化」や「現場との密なコミュニケーション」、そして「データベースでPDCAサイクルを回すこと」でした。

これからイネーブルメントを始めようと思われている方、取り組み中でなかなか成果が出ず悩まれている方、イネーブルメントのさらなる充実を目指す方のご参考となれば幸いです。

ATDによるSales Enablement Certificateプログラムとは >>

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