弊社ではエンタープライズからスタートアップ企業までセールスイネーブルメント(Sales Enablement)導入のサポートをしていますが、イネーブルメントというアプローチが新しい概念であることから様々な「導入のボトルネック」に直面します。
本稿では代表的なボトルネック、それを突破する糸口について探っていきましょう。
多くの企業はなんらかの育成施策を社内ですでに実施しています。
セールスイネーブルメント施策を社内提案する際、マネジメント層からは必ずと言っていいほど次のような反応がでます。
● 「過去に多くのトレーニングをやってきたが、それらと何が違うの?これまでのプログラムでいいんじゃない?プログラム自体は好評だったので。」
● 「トレーニングは必要だけど、それを実施した結果ビジネスにどうつながるの?」
● 「営業は忙しいので、追加のトレーニングはいいから、案件につながる施策を考えてほしい」
最初のイネーブルメント導入のボトルネックは、「マネジメント合意獲得の失敗」です。
イネーブルメントは中長期的に相応の投資が必要となるため、上記の質問に対して適切に対応できないと先に進むことができなくなります。
これに対する対応方針は2つです。
● イネーブルメントは「営業成果と育成をつなぐ仕組み」であることを丁寧に説明する
● 営業成果に対して育成のROI(投資対効果)を示す
「イネーブルメントは最近流行りのバズワードで、結局のところ営業トレーニングである」と誤解されるケースがありますが、違います。組織が求める営業成果を起点に育成施策を提供し、その結果をデータによって検証しながら改善のPDCAサイクルを回していく社内の仕組みです。トレーニングはあくまでも一手段にすぎません。成果を起点に育成施策が機能している企業はごくわずかです。まずは、このコンセプトをご理解いただく必要があります。
弊社では、このようなチャートを使って顧客に説明します。
次に、イネーブルメントの取り組みに対してどのようなリターンが得られるかを示す必要があります。
イネーブルメントは、営業成果に対する育成の取り組みです。お金をかけて育成した結果、営業成果が上がったのか、下がったのかを示すことで投資対効果を測ることができます。初めての取り組みの場合は、社内にデータがありませんのでROIはこの取り組みの目標値になりますが、そこに合理性とメリットがあれば経営判断としてはGoサインとなり、数値を持って結果を振り返ることができます。
弊社では、このようなチャートを使って顧客に説明しています。
セールスイネーブルメント自体が新しいコンセプトであるということだけでなく、英語表現のわかりにくさということもあり、営業現場から見て「何をしてくれるチームなのか」理解が得にくいケースがあります。代表的な現場の反応は次のようなものです。
● 「営業推進部の名前が英語になっただけで、結局営業現場に対していろいろと管理をしてくるだけでしょ」
● 「営業現場を知らないのに、どのような支援ができるの?」
● 「ITツールを増やして現場負荷を増やすだけなのでは?」
2つ目のボトルネックは「営業現場から見てよくわからない存在」という認知です。
イネーブルメントは営業現場のベストプラクティスを体系化しながら、支援策を拡充していきます。現場とのコラボレーションが必須ですが、「何をしてくれるのかわからない存在」という現場認知は、イネーブルメント施策推進の大きなボトルネックになります。
これに対する対応方針は2つです。
● 営業活動ですぐに使える「実弾」を提供する
● 営業マネージャーの「育成の右腕」となって育成施策を握る
営業現場は常に案件につながるネタや支援策を求めています。「この営業ツールをこう使えば新規案件が作りやすいですよ」とか「この提案書のテンプレートをこのように使えば受注率が高まりますよ」といったものは常にウェルカムです。イネーブルメントチームはトレーニングやツールの提供などを通じて、現場の営業成果創出を支援する存在であることを示しましょう。
弊社では、このようなチャートを使って顧客に説明しています。
次に、営業マネージャーです。営業マネージャーも日々チームの数字や自分の数値を追っていて多忙です。チームメンバーの育成ということになると計画的に実施できていないケースも多いです。
イネーブルメントチームはそこを支援する存在です。営業チームの数値の進捗をもとに、半期や四半期で重点的に取り組むべき育成テーマを設定し、イネーブルメントチームがどのような支援をするかを擦り合わせることで、マネージャーの「育成の右腕」であるという認知を獲得していきましょう。
セールスイネーブルメントは比較的新しい取り組みであることから、人材マーケットに経験者が少ないです。社内でも知見を持った人はほぼいないでしょう。ましてや、人材不足の企業が多い中でコストセンターと捉えられがちなイネーブルメントに新たに人を割り当てること自体が難しいかもしれません。
3つ目のボトルネックは「担当者を置くことができず空中分解」してしまうことです。
営業成果が示せれば人材リソースを張れるのに、人材がいないから営業成果が示せないという「ニワトリ卵議論」になってしまいます。
これに対する対応方針は2つです。
● 営業企画部門や営業推進部門でスモールスタート
● 成果を示してリソース拡充
最初からイネーブルメント専任人材を配置できる企業は限られますので、営業企画や営業推進部門でイネーブルメントの取り組みをプロジェクト化して、プログラムの初期バージョンを形にすることがおすすめです。
イネーブルメントは営業成果と育成をつなぐ取り組みですが、営業企画や営業推進部門で営業の数値データを管理しているケースが多いです。営業の数値データが分析できますので、その結果を活用して育成プログラムの初期バージョンを作ります。そしてその育成プログラムが成果につながったかどうかを数値データで確認します。
このサイクルをしばらく続けて、イネーブルメントの成果がデータで示せるようになったタイミングで専任人材を会社にリクエストしていくのがいいでしょう。
最初のスモールスタートが難しいという場合には、弊社のような外部の知見者のサポートを得て、その後内製化していくといった進め方もおすすめです。
弊社では、このようなチャートを使って顧客に説明しています。
いかがでしたでしょうか。今回は、セールスイネーブルメント導入時の代表的なボトルネックと解消法についてお伝えしました。
是非皆さまの会社でも参考にしていただければ幸いです。
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