事例

Customer Cases

成果起点の営業組織・人材変革“セールスイネーブルメント”の導入事例をご紹介します。

印刷業から情報産業へ。進化し続ける凸版印刷の営業改革をセールスイネーブルメントが加速

凸版印刷株式会社(現:TOPPANエッジ株式会社)

イネーブルメントは楽しい!ソニービズネットワークスが実現したデータドリブン・成果起点の営業育成

本事例記事のサマリ

今回の対談では、営業スタイル改革の柱としてイネーブルメントを導入、推進されている凸版印刷セキュア事業部の松山さんにお話を伺いました。 創業120年を迎え、誰もが知る大企業である凸版印刷。時代の変化に適応しながら進化し続けている同社では、昨今の環境激変下、営業改革を推進する上でどのようにイネーブルメントを組織に浸透させ、成果につなげているのでしょうか。

抱えていた課題や背景

  • 時代の変遷とともに、主要商材が紙からDX・BPOに変化していくなかで、従来の“御用聞き営業”に限界を感じ、“営業スタイル変革”へと大きく舵を切った。
  • お客様の課題をヒアリングし、マーケティング・企画をし、クリエイティブを制作してプロモーションまでする、といったトータルソリューションを提供していく場合、個人だけではなく、事業部として成長していく必要性を強く感じていた。

導入の効果

  • 「顧客の潜在課題を抽出し・提案し・そして成果を出し続ける創注営業」の在り方が型化され、組織へ浸透したことにより、お客様が描く理想的な姿やビジョン実現のために伴走する“お客様の戦略パートナー”として認知されるようになった。
  • セールスイネーブルメントツールの活用により、スキル進捗と成長度合いが可視化され、メンバーのスキル強化や成長意欲の向上、課長の育成方法の適正化にもつながった。

凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部
セキュア事業部 事業戦略部 事業戦略チーム
課長
松山洋平さん

新卒で凸版印刷に入社後、15年にわたり保険などの金融業界で法人営業を経験。印刷物からDX商材まで幅広い提案実績と蓄積された営業ノウハウを活かし2019年に事業戦略部に異動、セキュア事業部のイネーブルメント組織を立ち上げ、現在も推進の中心となり活躍の幅を広げている。

時代の変遷とともに変わる商材 紙からDX・BPOへ

山下:まずは、松山さんが所属されているセキュア事業部の位置づけについて御社の事業と絡めて教えていただけますか?

松山さん:まず、凸版印刷の事業ですが、大きくは「情報コミュニケーション」「生活産業」「エレクトロニクス」の3つの事業分野で構成されており、売上比率としては、全体の60%程度が私たちセキュア事業部が属する情報コミュニケーション、30%程度が生活産業、残り10%程度がエレクトロニクスといった割合です。情報コミュニケーション事業本部は、セキュア事業部(主要取引先は金融機関)・情報メディア事業部(主要取引先は出版業界)・マーケティング事業部(主要取引先は流通及びメーカーなど)・ソーシャルイノベーション事業部(主要取引先は公共機関)で構成されていますが、現在ペーパーメディアの取り扱いは20%程度となっています。

私たちセキュア事業部が提供するソリューションとしては、切手・はがき・商品券・通帳などの「証券印刷」にはじまり、クレジットカード・キャッシュカード・交通系ICカードなどの「カードビジネス」、そして最近では、デジタル化が進み、「DX・BPO」などにもサービスの幅を広げています。
セキュリティ性の高いソリューションを扱っていることもあり、金融系のお客様が多いのが特徴です。

山下:こうして売上構成について伺うと全体のバランスが非常によく、これまで「凸版印刷=印刷会社」のイメージを持たれていた方の印象が大きく変わりそうですね。大蔵省印刷局技術官の方がスピンアウトして創立、印刷業を祖業としてきた御社にとってデジタル化への転換の背景にはどのようなことあったのでしょうか。

松山さん:私は2005年に新卒で凸版印刷に入社し、生命保険・損害保険業界の法人営業を15年ほど担当しましたが、入社当時は保険商材に関するパンフレットや約款などの印刷物関連の業務がほとんどでした。ところが2010年ごろから、世の中でペーパーレス促進の動きがあったり、金融業界におけるお客様のニーズに変化が見られるようになったりと、大きな環境変化の中で、社内でも紙以外にビジネスの柱を作るべきではないかという議論が巻き起こり、DXやBPOへの事業転換を加速させました。今後もDX・BPO商材により注力していきたいと考えています。

山下:時代の変遷とともに、今後も営業改革をスピード感を保ちながらも中長期の視点で進めていかれることと思いますが、セキュア事業部の目標をお伺いしてもよろしいですか?

松山さん:はい。凸版印刷の中期経営計画でも事業ポートフォリオにおけるDX事業の割合を全社営業利益の30%まで伸ばすことを目指しています。セキュア事業部でもそれに合わせて、DX商材の販売に力を入れております。

また、取引先という面においても、金融機関だけに頼らず新規開拓を事業部の営業メンバーと一丸となって進めていこうとしています。

商材の変化にともない、競合も印刷会社だけでなく、SIerなどのIT企業など多岐にわたってきている中で、「印刷分野で培った経験を活かしたデジタル上でのUI/UXの提案」や「ものづくり企業ならではの一気通貫で提供可能なBPO」「金融機関との取引の中で蓄積された機微情報取り扱いのノウハウ」などの強みを活かしてチームで目標達成を目指していきます。

求められる営業スタイル改革、“創注”実現を加速させるセールスイネーブルメント

山下:目標達成に向けて、強い営業組織づくりの基盤として2019年頃から「セールスイネーブルメント」に取り組まれていますが、当時抱えていた課題や導入の背景についてお聞かせいただけますか。

松山さん:課題としては、商材が紙からDX・BPOに変化していくなかで、従来の“御用聞き営業”が通用しなくなってきた、という点があります。
お客様の課題をヒアリングし、マーケティング・企画をし、クリエイティブを制作してプロモーションまでする、といったトータルソリューションを提供していく場合、個人だけではなく、事業部として成長していく必要性を強く感じていました。

弊社では、“創注活動”という「お客様の潜在課題を顕在化して支援する新たな需要創出型の取組み」を以前から取り入れていたものの、その定義や手法、型について事業部から営業に十分に伝えきれておらず、結局個人レベルで創意工夫しながら営業活動を進めていたのが実情です。そのような中、経営企画本部から山下さんを紹介してもらう機会があり、はじめてセールスイネーブルメントの存在を知りました。お話を伺う中で、「顧客の潜在課題を抽出し・提案し・そして成果を出し続ける創注営業」の在り方を型化し、組織に浸透させるためにはセールスイネーブルメントが有効であると感じたため、セキュア事業部での導入を実現しました。

山下:当時は他の事業部でイネーブルメントのトライアルを実施していましたが、ちょうど成果が出始めていた頃だったので、セキュア事業部でも本格的にイネーブルメントを導入すれば成果が出るのではないかと思い、お声掛けいただけたときは嬉しかったです。

松山さん:当時はお恥ずかしながら、セールスイネーブルメントについての知見がほとんどなかったのですが、「イネーブルメント=実戦型のプログラム」であるという点が、これまでの研修やトレーニングとは異なる考え方で、とても印象的でしたね。

山下:まだイネーブルメントの認知も今ほどない時代だったので、その意義や具体的な進め方、これまでのアプローチとの違いなどを理解していただくことが重要だと思っていました。ご理解いただいた後は、松山さんの推進力でたいへんスムーズにプロジェクトが進みましたよね。ありがとうございます。

スキル進捗、成長度合いを可視化。人の成長が組織の成果へ

山下:2020年12月に開始した「第1期イネーブルメントプログラム」も2021年9月に完了されていますが、イネーブルメントを提供することで、営業組織では定量的・定性的にどのような成果が得られましたか。

松山さん:そうですね。足の長い案件が多いため、売上という分かりやすい成果が見えるまではあと少しといったところですが、定量的な成果として、新規案件数の増加や創注案件の誕生が確実に見て取れます。
また、イネーブルメントプログラムの前後で営業個々人の“創注スキル”をアセスメントで測定したのですが、プログラム実施後には全体的にスコアアップしていることがわかりました。

定性的な成果についていうと、お客様企業における一つの部門へのご提案に留まらず、その部門からのご紹介などを通じて他部門へ横展開するケースも増えています。

山下:“創注活動”に求められるキーアクション・スキルの中でも、ビジョンセリングやアカウントプランは特に強化されていたポイントでしたよね。

松山さん:そうですね。営業個々人が、お客様が描く理想的な姿やビジョン実現のために伴走する“お客様の戦略パートナー”と化しているところは、まさに大きな定性成果、組織全体の成長だと思っています。

山下:イネーブルメントプログラム実行にあたり、2021年から弊社が独自開発したセールスイネーブルメントアプリケーション“Enablement App”もご導入いただいていますよね。社内に与えたインパクトにはどのようなものがありましたか。

松山さん:大きく二つあると思っています。一つ目は、営業メンバーのスキル進捗と成長度合いが可視化されたことによるメンバーの成長意欲の向上と課長の育成方法の適正化です。一般的に評価というのは属人的になりやすく、その正当性がわかりにくいことも多いのではないでしょうか。営業個々人のスキルや成長をモニタリングできるようになったことで、評価される側にもする側にも納得感が生まれていると思います。

二つ目は、アプリに標準実装されているトレーニング動画の活用により、営業メンバー一人ひとりに必要なスキルを強化できていることが挙げられます。また、各育成施策で学んだことの復習としても有効だと捉えています。
営業会議の中で、マネージャーがトレーニング動画を他のメンバーにも共有し学びの機会を提供している場面も目にするようになりました。

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セールスイネーブルメント成功の鍵となるマネージャー育成

山下:「高い目標設定はあるもののそれをどう達成するべきか」という問いへの解としてイネーブルメントがお役に立てたのであれば大変嬉しく思います。同時に、営業現場の皆さまの前向きな姿勢と愚直な実行力こそがプログラムの成果を最大化したのではないかと思っています。

松山さん:そうですね。はじめての営業手法に対してもメンバーの吸収力が高く前向きに実践してくれたこと、また、イネーブルメント推進にあたり鍵となるマネージャーが協力的だったことにもとても感謝しています。

第一期を通じてメンバーのポジティブな変化を目の当たりにしているマネージャーたちは、イネーブルメントの必要性についてはわかってくれていると思いますので、そのマネージャーたちのイネーブルメント理解をどれだけ促進できるかが今後の重要テーマだと認識しています。

ただ、私たちもそうですし、部長・マネージャークラスであってもイネーブルメントに関してはまだまだ手探り状態なので、これからも山下さんはじめR-Squareさんにはぜひお力添えを頂きたいです。

山下:もちろんです。すでに2021年12月から1期プログラムに参加したマネージャーを中心にマネージャーイネーブルメントの取り組みをスタートされていると思いますが、詳細をお聞かせいただけますか。

松山さん:現在メンバー同様、マネージャー向けにもスキルマップを作成し活用しています。ユニークパフォーマー=成果を出している部長・マネージャーに対し日々のマネジメント方法などをヒアリングし、創注実現にあたり課長に求められる行動や知識・スキルを体系的に整理し、それらに対応したイネーブルメントプログラムを企画、実施しています。

管理職になるとどうしても自分の型を崩しづらい部分もあると思いますが、イネーブルメントを広めることも自分自身の重要な役割と理解し協力してくれています。

山下:すばらしいですね。マネージャーイネーブルメントの成果についても今からとても楽しみです。同時に2021年11月から「第2期イネーブルメントプログラム」も同時並行で進められていますよね。こちらについても伺えますか。

松山さん:はい。第2期は前回参加できなかったマネージャーとメンバーに加え、第1期とは異なるメンバーと改めてプログラムに参加したいと希望があったマネージャーも参加しています。まずはマネージャー層に優先的に参加してもらい、その後、若手や新人と事業部全体にイネーブルメントを浸透させていきたいと考えています。

山下:マネージャー自ら希望されてご参加いただけるというのは、こちらとしてもとてもありがたいです。イネーブルメントプログラムの進め方は組織によって異なりますが、御社の場合はマネージャーとメンバーがペアとなって取り組まれていたことが特徴的でした。そのような方法がフィットしていたということでしょうか。

松山さん:ペアで進めた一番の理由は、マネージャーの指導力向上も副次的効果として狙っていたからです。まずはマネージャーが理解して、メンバーを育成し、ペアで相乗効果を生み出しながら経験を積んでもらいたいという意図がありました。
将来的にはグループリーダーとメンバーなどのペアでの実施も視野に入れています。

育成を促す営業コーチング>>

組織の垣根を越えるイネーブルメント

山下:ここまで凸版印刷社における営業改革の変遷にはじまり、イネーブルメント導入の背景や抱えていた課題、実際のプログラム内容まで、具体的にお話しいただきました。
今後より強い営業組織を目指し、チャレンジしている・したいことがあれば教えてください。

松山さん:ご存じの通り、ここ数年でビジネス環境は大きく変化しています。お客様側も営業側もリモートワークが浸透し、オンライン商談も一般化しました。ビジネスモデルや組織自体の見直しも進んでいます。そういった変化に適応しながら、営業組織も人も日々成長していかなければなりません。
組織・人いずれの視点で見ても営業スタイル変革がより重要となってきますが、特に難易度の高い複雑な商材や新しいソリューションの提案において、イネーブルメントは欠かせません。

また、現在関西事業部にもイネーブルメントを展開し始めておりますが、会社全体での実施や他社とのコラボレーションによる進化なども実現できたらと期待が高まります。

山下:長時間にわたりお付き合いいただきありがとうございました。最後にぜひ、イネーブラーとして活躍を目指す同士やこれから強い営業組織を作りたいとお考えの方にメッセージをお願いします。

松山さん:弊社も試行錯誤しながらイネーブルメントに取り組んでいる段階ですので、より多くの情報や経験を必要としています。会社の壁を超えて事例などを共有できるような環境があればいいなと思っていますので、ぜひ、イネーブルメントに取り組まれている、今後取り組まれる方と積極的に接点を持てれば嬉しいです!

山下:凸版印刷社は、創業120年を迎えた歴史ある大企業ですが、激しい環境変化に適応しながら営業組織・スタイル変革を実現し続けてきました。今回のセキュア事業部での成功を皮切りにセールスイネーブルメントが全社に浸透する日を心待ちにしています。

本日はありがとうございました!

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