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Customer Cases

成果起点の営業組織・人材変革“セールスイネーブルメント”の導入事例をご紹介します。

イネーブルメントは楽しい!ソニービズネットワークスが実現したデータドリブン・成果起点の営業育成

ソニービズネットワークス株式会社

イネーブルメントは楽しい!ソニービズネットワークスが実現したデータドリブン・成果起点の営業育成

本事例記事のサマリ

今回の対談のお相手は、法人向けインターネット回線サービスNURO Bizを展開するソニービズネットワークス株式会社第2営業本部長の渡邉大樹さん。営業責任者を務める傍ら、セールスイネーブルメントのリーダーとしても各種イネーブルメント施策をリードする渡邉さんが「データドリブン・成果起点の営業育成」をどのように推進してきたのか、成果や今後の展望などとあわせて詳細をお伺いしました。

抱えていた課題や背景

  • 「主力製品であるインターネット回線の安定受注」や「中長期的な組織営業力強化」のため、成果起点の営業育成を実現すべく、内製でイネーブルメントに取り組もうとしたが、営業データ、育成データの整備が大きな障壁となっていた。
  • イネーブルメント施策をリードするイネーブラーは、営業責任者である渡邉さんが兼任する体制でスタートし、限られたリソースでの成果創出が求められていた。

導入の効果

  • 「成果起点で構築された育成プログラム」への納得感が醸成され、半期に1度実施しているスキルとナレッジに関するアセスメントによると、営業パーソンが着実にスキルアップしていることがわかった。
  • 営業データと育成データの相関を検証してみたところ、高い相関を示し、提供した育成施策が生産性向上や最重要指標の改善に寄与していることが実証されはじめている。

目次

  1. コロナ禍以前のオンライン商談導入が「営業の型化」を意識する転機に
  2. 最初の壁は「営業データの整備」と「育成成果の可視化」
  3. 追うべき最重要指標は「主力製品の受注率」
  4. 営業成果と育成施策の相関が示すイネーブルメントの投資対効果
  5. 営業組織強化の要となるグループリーダーイネーブルメント
  6. 内製化×セールスイネーブルメントツールの活用でサステナブルな取り組みに
  7. 営業本部長とイネーブラー兼任で成果を出すポイントは“自分よがりにならないこと”

ソニービズネットワークス株式会社
第2営業本部 本部長
渡邉 大樹さん

株式会社USEN-NEXT HOLDINGにてフィールドセールスを経験後、ソニービズネットワークスの立ち上げメンバーとして2012年10月に入社。2017年11月には大阪営業所の立ち上げを担当し、事業の拡大に努める。現在は第2営業本部のマネジメントを担いながらデータドリブンの営業育成を実践するセールスイネーブルメントの仕組みを導入し、営業組織の戦略策定に従事している。

1.コロナ禍以前のオンライン商談導入が「営業の型化」を意識する転機に

山下:現在渡邉さんは、営業本部長兼イネーブルメントリーダーとして大変なご活躍をされていますが、これまでのキャリアやイネーブルメントに関心をもたれた経緯について教えていただけますか。

渡邉さん:前職は、USEN(現:株式会社USEN-NEXT HOLDINGS)という会社で、法人向けにネットワークを中心としたソリューション営業をしていました。当社には、設立当初の2012年10月に入社し、今年で丸10年を迎えました。

直販営業の責任者として、NUROの法人向けICTソリューションサービスの立ち上げも経験しましたが、自身のキャリアの中でもっとも印象的なのは、2017年からの大阪、名古屋、福岡事業所の立ち上げ期に、THE MODELや、セールスイネーブルメントの概念を知り、実際に会社に提案し取り組みを推進したことです。当時は、営業分業体制への移行にともなう組織間連携やパイプラインマネジメント強化のために、いろいろと情報収集をしていましたが、そんな中、山下さんの本に出会いました。とても楽しく読めたことを今でも覚えていますが、これが会社としてイネーブルメントに本格的に取り組んでいこうというきっかけとなりました。

山下:ありがとうございます。渡邉さんは、考え方を知ったその瞬間からイネーブルメントをとてもポジティブに受け止めていらっしゃいますが、もともと営業組織の改革や属人化の脱却にご興味をお持ちだったのでしょうか。

渡邉さん:もともとではないと思います。私が新卒・若手だった頃の営業といえば、「どれだけテレアポできるか」みたいな世界で、営業の質よりも量が注目されがちでしたし、当時は訪問営業が中心だったので、ハイパフォーマーが何をやっているのか見えず、成功事例やナレッジの共有といった仕組みもありませんでした。それが当たり前だったのです。

転機となったのは、2017年の大阪支店立ち上げ期に「オンライン商談」に取り組み始めたことです。それまでは東京で営業をしていたのですが、大阪は状況がまったく異なりました。東京と比較すると、最寄り駅からタクシー移動しなければならない立地の顧客が少なくないことに加えて、社員は現地採用、金融や不動産業界出身でネットワーク関係の営業経験がない未経験者が多く、初期はほとんどの商談に私が同行せざるを得ない状況でした。そこで、リソースを有効活用するために、思い切ってオンライン商談に切り替える、という決断をしました。

新しい試みを推進する中で、営業の型化や分業制の重要性に気づき、イネーブルメントにも興味が湧き始めたのです。

山下:2017年ということは、コロナ禍以前からオンライン商談に積極的に取り組まれていらっしゃったのですね。録画もされていたとのことですが、メンバーの皆さまの反応はいかがでしたか?

渡邉さん:私もチャレンジだとは思っていましたが、やはり最初はみんな嫌がっていましたね(笑)。今はその価値がわかるので録画も当たり前になりましたが、当時はカメラをなかなかONにしてくれないなど、オンラインへの転換はハードルが高かったように思います。

2.最初の壁は「営業データの整備」と「育成成果の可視化」

山下:2020年には私の本を手に取っていただき、その後弊社主催のウェビナーにもご参加いただいたと思うのですが、当時のイネーブルメントのお取り組み状況や、抱えていた営業課題・育成課題について伺えますか。

渡邉さん:2020年の上期に山下さんの本を読んで、実際に社内で試してみようという話になりました。書籍のとおり、まずはフェーズ1から自分たちで取り組もうとしたのですが、最初にぶつかったのが「営業データの整備」でした。

ソニービズネットワークス渡邉さん

SFAは導入していましたが、案件管理ツールとしてしか使えておらず、営業の活動実態把握や精度の高い売上予測はできていない状態だったのです。受注してから登録するといったこともざらでしたので、受注率200%、のように見えてしまうなんてこともあり、データ活用の前に正しいデータの取得から始める必要がありました。営業グループが全国に14あり、整備すべきデータの量が膨大だったことも、取り組みの難易度を上げていたと思います。

また、それ以外にも、研修やロープレなどをグループごとにやってはいるけれど、それが実際にビジネスインパクトにどうつながっているのか見えていない、といった課題があり、「育成成果の可視化」も取り組むべき重要テーマの一つでした。メンバーの課題は何か、というのもなんとなくグループリーダーが把握しているものの、抽象度が高く、可視化できているとはいえない。そのあたりの育成課題も抱えていました。

山下:イネーブルメントの取り組みに着手する手前で、営業データの整備の壁が立ちはだかったということですね。育成の投資対効果を可視化するうえでも、営業データの整備は欠かせません。

渡邉さん:はい。とはいえ正直なところ、データ整備を自分たちでやるのは厳しいだろうと感じていましたし、同時に非効率だとも思っていました。山下さんのウェビナーを、営業戦略の責任者といっしょに見ていたのですが、「これはもう山下さんに聞いてみよう」と。それがきっかけで一気に話が進みました。

山下:そうですよね。“データの壁”は、御社に限った話ではなく、SFA活用に悩まれている営業組織は非常に多いです。イネーブルメントでは「営業成果」を起点に育成施策を提供しますが、その前に改善すべき指標が何なのか、これが正しく見えないとその後の施策にすべて影響してきてしまいますので、早期に着手すべき重要テーマだと思います。

3.追うべき最重要指標は「主力製品の受注率」

山下:育成施策がビジネスインパクトにつながらないというお話もありましたが、営業データを整備したうえで、組織として最初に改善したかった指標やそのための取り組みについてお聞かせいただけますか。

渡邉さん:そうですね。最重要指標は「主力製品の受注率」でしたが、御社にもご支援いただきながら、まずは営業フェーズの見直しとSFA活用法のインプットを行ったことで、受注率の正確な取得やダッシュボードを見ながらの分析ができるようになりました。加えて、「コンペで競合に負けた」「顧客から連絡が途絶えた」などばらばらだった「失注」の定義の認識を合わせたことで、失注分析を営業活動に活かせるようにもなりました。

その結果、営業フェーズのどこに課題があるのかが可視化され、改善ポイントが明確になったといえます。2021年上期の一番の成果は、SFAを使えるようになったこと、正しく分析ができるようになったことといえるかもしれません。

山下:SFAのデータ整備から育成課題の可視化まで、1年で実現できたというのは早い方だと思います。SFA活用は多くの営業組織が抱えていらっしゃる課題だと思いますが、相応に時間がかかる取り組みだと思いますので、御社のように早期に着手できるといいですね。

4.営業成果と育成施策の相関が示すイネーブルメントの投資対効果

山下:ここまでイネーブルメントの素地をしっかりと整えてこられて、何か営業成果や組織に変化のようなものは感じますか。

渡邉さん:そうですね。まず、「成果起点で構築された育成プログラム」への納得感が醸成されはじめたと思います。イネーブルメントでは、達成したい成果を出すために必要な行動、スキル、ナレッジを整理したうえで現場にインプットしますが、育成成果を測るために、2021年上期から、半期に1度スキルとナレッジに関するアセスメントを実施するようになりました。アセスメント結果を基に提供されるトレーニングやワークショップには納得感がありますし、ナレッジアセスメントの結果は評価項目に組み込まれていることもあり、みんな前向きかつ真剣に取り組んでいます。

山下:アセスメント結果を評価に反映させることは、設計に気をつけないと現場に不公平感を与えてしまうなどといったリスクもはらんでいます。御社の場合には、現場の状況を踏まえたうえで細かく体系的に設問が設計されているので、運用がうまく軌道に乗っているのではないでしょうか。

また、アセスメントを「評価のための施策」ではなく、「営業成果達成に必要な取り組みの一環」として現場にご理解いただけていることも大変素晴らしいと思います。

渡邉さん:実際に営業データと育成データの相関を検証してみたところ、高い相関を示しており、提供した育成施策が生産性向上に寄与していることがわかりました。受注率も改善傾向にあり、今後が楽しみです。

山下:人の成長にドライブをかけつつ、結果として成果にもつなげていくという、先進的なイネーブルメント事例ですね。

5.営業組織強化の要となるグループリーダーイネーブルメント

山下:イネーブルメント導入の背景や初期の取り組み状況と効果についてここまでお伺いしてきましたが、直近2022年はさらにどのようなチャレンジがあったのでしょうか。

渡邉さん:そうですね。2つあって、「イネーブルメントのオペレーション化」と「グループリーダーイネーブルメント」です。

1つめのオペレーション化については、可視化された営業データとスキルやアセスメントなどの育成データを活用して、さらなる「受注率向上」を目指すべく、改善も含めたPDSAサイクルを回していきたいと思っています。

2つめのグループリーダーイネーブルメントについては、当社の営業組織で特に重要な役割を担っているグループリーダーの育成強化です。当社特有のグループリーダースキルマップ(成果を出すために必要な行動・スキル・ナレッジを体系的に整理したもの)を御社といっしょに作成し、課題となっているところに対し対策を打っているところです。

山下:昨今営業力強化の要となるマネージャーイネーブルメントのニーズがますます増えていますが、渡邉さんの組織でグループリーダーに求めているスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。

渡邉さん:ディールマネジメントはもちろん、ピープルマネジメントも重要ですし、当社の場合タスクマネジメントのスキルも重要度が高いです。メンバーは月に平均5~6社くらい、多い人だと10社以上受注していますが、毎月かなりの数の納品が発生するので、それを束ねるグループリーダーは相当忙しいと思います。そのような状況下でも、しっかりとメンバーと向き合い適切にフォローしたり、トラブルを未然に回避したりするなど、細かくタスク管理できるグループリーダーはとても貴重な存在です。

山下:なるほど。グループリーダーに求められる役割やスキル、現状が明確になると、課題も見えてくると思うのですが、グループリーダー向けにどのような育成プログラムを提供しているのでしょうか。

渡邉さん:1つの型に固執するのではなく、状況に応じて柔軟にリーダーシップスタイルを変えていくことができるように「リーダーシップ研修」を実施しました。また、月に1度、グループリーダーを集めてSFAやデータ活用について成功事例の共有やディスカッションをしてもらう場も設けています。これまで自分たちでダッシュボードを作るなんて想像もできなかったのに、今ではダッシュボード活用のポイントなどすぐに実務で活かせるノウハウが積極的に共有されている光景を目の当たりにして、とても感慨深いです。グループリーダー同士で本部を超えたディスカッションを行えること自体に価値を感じてくれている人も多く、参加者から大変好評なので、ぜひ今後も続けていきたい取り組みです。

あとは、どこまで内製でやるのか、どこから専門家にお願いするのか、というのもこれから検討すべき重要テーマだと思っています。やはり、専任イネーブラー不在で、私のように営業責任者と兼務でイネーブルメントを推進するというのは、かなりのパワーを要します。R-Square & Companyさんというパートナーの存在は本当に心強いですね。

6.内製化×セールスイネーブルメントツールの活用でサステナブルな取り組みに

山下:イネーブルメントの一連のサイクルができあがりつつある中、今後さらに取り組んでいきたいテーマがあればぜひ教えてください。

渡邉さん:先ほどもお伝えしたとおり、内製化できる部分については積極的に推進していこうと思っています。例えば、アセスメントやグループリーダー定例などに関しては、自前でより品質を向上させていきたいです。さらに、御社のセールスイネーブルメントツール『Enablement App』をうまく活用しつつ、当社ならではのイネーブルメントコンテンツと連携させていけたら、運用の負荷も軽減しサステナブルな取り組みになるのではないかなと期待しています。

ただ、現場視点で考えると、やはり新しいチャレンジは負担になってしまう部分もあると思うので、導入することによるビジネスインパクトを示しつつ、実際に成果を出すところまで早期に導くことで、「他チームから真似したい」と思ってもらえるような成功事例をどんどん作っていきたいです。そして、それを社内に普及、浸透させていくことがキーポイントになると思っています。

山下:おっしゃるとおり、一時的には現場への負荷がかかってしまうだろうという想像はしていて、その負荷をいかに最小限にできるか、中長期的に見たら現場の方々の育成工数削減や生産性向上につながることをいかに示せるか、私たちもご支援させていただく中で真摯に向き合っていきたいと思っています。

7.営業本部長とイネーブラー兼任で成果を出すポイントは“自分よがりにならないこと”

山下:最後に、渡邉さんがこれまで営業本部長とイネーブラーを兼任されてきた中での難しさや、逆に兼任だからこそよかったと思えるポイントがあればぜひ伺いたいです。

渡邉さん:難しいのは何といっても予算取りですね。おそらくイネーブルメントに取り組まれている企業のリーダーの方々の多くが似たような状況ではないでしょうか。特に初期は、実際にどれくらいの効果を期待できるのかの予測が難しく、投資対効果を示しにくいと思います。私もそうでした。今は、生産性や受注率など、得られた成果をもって次年度予算を獲得しにいっています。

兼任だったからこそのメリットは、営業経験や実績があるからこその視点でイネーブルメントを推進できることや、新しい取り組みでも、周りから信用してもらいやすいということがあるかもしれません。忙しい現場からすると、大抵の育成施策が「それって意味あるの?」という感覚で捉えられてしまいがちです。過去実施してきたトレーニングが、実務に即したものでなければないほど、その傾向が強く出ます。それでも、営業で何らかの実績を残してきた人たちが、「イネーブルメントは価値があるからまずはやってみよう」とメッセージを発信すれば、比較的受け入れてもらいやすいのではないかと思っています。

山下:渡邉さんが営業本部長というお立場でイネーブルメントの陣頭指揮をとっている、というのは、推進を加速させるうえですごくポイントになっていると思います。「営業トップでイネーブルメントをやってみよう」という営業リーダーの方は他にもいらっしゃると思いますが、営業トップのお立場で大変なお忙しさの中、営業戦略を実行しつつイネーブルメントも推進するためのコツなどはありますか。

渡邉さん:しいて言うなら、自分よがりにならないようにすることでしょうか。ある程度実績を残していたとしても、一人でできることには限界があります。自分の営業スタイルが一番すごいと思わずに、いろいろなタイプのハイパフォーマーからいいところを学ぶという感覚は大事だと思っていて、そこのバランスがある方はイネーブラーに向いていると思います。

山下:なるほど。営業組織にとってのベストなスタイルは、個々の得意なところを繋ぎ合わせることで型化していくという考え方ですね。

渡邉さん:そうですね。私も自分がハイパフォーマーだと思ったことはありません。自分が契約まで至らなかったお客様から、2年目の新人がご契約いただけたこともありますし。ただ、ここで重要なのは、なぜその新人は受注できたのか、ということをきちんと言語化しておくことだと思っています。

イネーブルメントを通じて、ハイパフォーマーは魔法が使えるわけではなく、「やるべきこと」を「しっかりと」「効率的に」やっている、正しいプロセスを踏んでいるのだということがわかりました。また、その正しいプロセスを実行するためのアクションが言語化されていることで最適な育成施策に落とし込むことができ、定期的なアセスメントでは、個人の成長を可視化し、成長実感を与えることもできています。さらに、この仕組みは「名選手」だけでなく「名監督」をも輩出できるようになり、組織やビジネスをさらにスケールさせていくでしょう。イネーブルメントは本当に楽しいです。

山下:ご支援の機会を頂けてから2年弱くらいが経ちますが、データ整備とSFA活用が一気に進み、かつ成果起点の育成プログラムも展開されていて、投資対効果が可視化されつつある。そしてここからはいよいよ本格的に内製化、というのは、イネーブルメントの素晴らしいモデルケースだと思いますし、ご一緒させていただけて本当に光栄です。本日はありがとうございました!

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